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お金の起源が「貸し借り」だと考えると、お金の見方が変わる

Kindleのセールで偶然見つけた『大人のためのお金学』という本。499円 → 250円に安くなっていたので、タイトルが気になって買ってみました。

1時間もかからずに読めるボリュームなのに、読み終えたあと、お金の見方がガラリと変わったので、いろんな人にも読んでもらいなと思って、まとめてみようと思います。

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お金の起源=物々交換説 は証拠がない!

お金の起源は、「ほしい」と「ほしい」がニーズが重なる物々交換からはじまったのだとずっと思っていました。でも、その説はもっともらしく聞こえるけど、ところどころツッコミどころがあるらしいのです。

例えば、
・物々交換の手段である「お金」自体に執着が生まれる理由が説明できない
・証拠(歴史的事実)が何一つ見つかっていない
などなど。

そこでこの本で提案されているのが、お金の起源は「貸し借り」からはじまったのでは説。

借りたいという人に対して借用証書を書いて、その契約が次々と重ねられ、人々の手から手へと渡っていくようになったことが、今のお金という存在につながっていったという説です。


お金の起源=貸し借り説 だとしたら?

『大人のためのお金学』の29ページには、こう書かれています。

デヴィッド・グレーバーは、『負債論』の中で別の説を唱えています。それは、紀元前三五〇〇年のメソポタミアの、会計業務の記録が見つかったことで生まれた説です。

その記録からわかるのは、当時の貸借契約、つまり「貸し借り」の約束についてです。たとえば、大麦畑で労働してくれる人に、雇用主は「大麦が収穫できたら、働いてくれた分を渡すよ」と約束しました。これは、雇用主が労働者に「労働力を借りている」ことになります。

逆に、労働者が雇用主に「働いて返すので、大麦を前借りさせてください」と言って、借りることもあったでしょう。そういう「貸し借り」を忘れないように、「借用証書」を書いていた。これがおカネの起源だとグレーバーは言います。

P29(太字は平野がつけました)

「その借用証書自体に効力がある!」と借り手&貸し手が認めたことが、お金の起源である可能性が高いということ。効力があると認めるということ自体が、信頼関係があってこそ。

この説が正しいのであれば、お金って人と人の"信頼関係"からはじまったものだったんだ!と知れたことが、この本で得た大きな気づきでした。

※ ちなみに、「貸し借り説」を否定する史料は見つかっていないとのこと


お金は人と人との信頼関係から生まれた

今では当たり前のように使っているクレジットカードや、〇〇ペイも、お金よりも先に信用取引があり、現金がなくても支払いができる仕組みです。これは、お金の起源である「貸し借り」で使われた借用証書が、いろんな形になって使われているだけで、本質は変わっていないということに気づきました。

他にも、スタートアップ界隈でよく聞く「ストックオプション」も、お金の起源=貸し借り説と考えるとわかりやすいです。スタートアップはリソースが少ないので、メンバーに対して「あなたに賭けます」という信頼の意味を込めてストックオプションを渡すことがあります。この場合は、 人と会社の信頼関係があってこそ。これもお金の起源から考えはじめると、スッと理解できるようになりました。

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基礎的なことはついつい勉強を怠ってしまうけど、学び直してみると新しい発見があるのだなと気づけた本でした。

この本の巻末には、お金にまつわるブックガイド(参考文献)を30冊も紹介してくれているところもうれしいポイント。

自分は「このテーマ面白いなぁ!」と思ったら勝手に学ぶタイプなので、紹介されていた文献についても、時間を見つけて読みたいなと思っています。

おカネはモノの価値を表しますが、「価値=おカネ」ではありません。ありきたりで当たり前のことですが、価値にはおカネだけでは計れないものがあり、それは人間や社会にとって、欠かすことのできないものです。この点を賢く切り分けて考え、他者と接し、暮らしていくことが、「大人のたしなみ」と言えるでしょう。

P81


NHK出版の「学びのきほん」シリーズは、『つまづきやすい日本語』や『からだと病気のしくみ講義』など、すでに何冊か買っていますが、サラッと読めるのに本質的な内容を知れるところが好きです。他の本でも気になるタイトルのものがあれば買ってみようと思います!

お金関連で「読んでよかった」という本があれば、ぜひコメントで教えてください!


記事内で作成した図解のアイコンは、noteのイラストシステム「JOY」と、Icon8を使用しました。

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平野太一
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