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香りには音がある|卒業制作「sankan」の振り返り
先日、デジタルハリウッド東京本校 本科UI/UXD専攻を修了し、クラスメイトと企画、運営した卒業制作展「紡」も無事に終わりました。
4月になってしまったけど、色々と区切りがついたタイミングなので、制作を通じて学んだこと、その時の思考を忘れないようnoteにまとめました。
卒業制作「sankan」について
卒業制作ではsankan(サンカン)の世界観を体感できる、体験型インスタレーションをつくりました。
sankanとは・・・
嗅覚 聴覚 視覚
3つの感覚を使って楽しむアロマフレグランスブランドです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648817658994-md67aLeilN.jpg?width=1200)
瓶をひとつ手にとると、映像と音が流れ、香りを嗅ぎながら、空間を楽しむことができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1648804203923-K9PWMcPCjq.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1648787687035-YCPy6LRBrZ.jpg?width=1200)
テーマのきっかけ
卒業制作では何を制作しても良かったため、「見た人のアクションがあって成立する作品」をつくりたいと漠然と思っていました。
何をテーマにしようか色々と考えていたとき、ふと香りをテーマにしたクリエイティブな体験ってあまりない気がすると思ったことがきっかけで、香りをテーマにしました。
そこから香りについて色々と調べ、「香階」という考え方を見つけました。
香階とは・・・
「ノート」という概念をもとにつくられた香りの音階表です。
香りの揮発速度に応じて、音を当てはめています(図1)。
音が調和していると、その音の香りも調和するよう考えられて香階はつくられています。
この香階は19世紀イギリスの調香師兼化学者だった、セプティマス・ピエス氏が考案しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1648814041997-s7TOVTmOau.jpg?width=1200)
この考えを見つけた時、ビビビッときて、直感的にこれはいける!と思いました。笑
ただ香階(香りと音)を実現した楽器や展示はすでにいくつかあったため、もう一捻りする必要がありました。
わたし自身、エッセンシャルオイルについて詳しくなかったため、原料の植物がどういうものか、あまり知りませんでした。
なのでどんな植物からこの香りがつくられているか、映像でわかったら面白いのではと思ったこと、また映像を組み合わせることで、今までにない香りの体験になると考えました。
映像は原料の画像を点で描写し、動きと軌跡をつけることで、香りの粒子が宙を舞う様子を表現しました。
本当は最初に植物が映し出され、徐々に粒子が広がっていく表現がしたかったのですが、力およばず、期日到来。。
(TouchDesignerでやったのですが、めちゃくちゃ苦しみました。笑)
![](https://assets.st-note.com/img/1648816337062-qnsmosPkGo.jpg?width=1200)
体験設計
今回は「香り」がメインテーマだったので、香りを嗅ぐ動作をきっかけにしたいと考えました。
空間を楽しんでもらうため、香りを嗅ごうと瓶を持ち上げる動作をきっかけに、映像と音が流れ、一定時間楽しむことができるようにしました。
体験のきっかけは、瓶の下に圧力センサーを配置し、重さの差によってON /OFFを切り替えることで実現しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1648816629521-OKllB9d34M.jpg?width=1200)
圧力センサー(Arduino)をつかった作品の情報が少なく、やっとできた!と思ったらショートしている危ない配線になっていたなど、散々だったことはいい思い出です。
あとはんだごてを意外にも上手く使えたので、手先が器用なのは昔から変わっていないなと変に自信がつきました。笑
この体験を実現するにあたり、デジタルハリウッド東京本校の講師である、米倉先生、横井先生には大変お世話になりました。
この場をお借りして、感謝申しあげます。本当にありがとうございました。
テーマ探しから体験設計までの全体が決まるまで、1ヶ月弱かかり、かなり時間を割いてしまいました。
ですが、時間をかけて企画を練ったことで、制作中に方向性に悩むことはなかったため、結果的に良かったと思います。
特にいろいろなことに興味が散ってしまい、軸がぶれがちな(隣の芝が青く見えてしまう)わたしは、今後も(可能な限り)企画段階でよく練ったうえで、制作にうつることを肝に命じたいです。。
展示について
本作品はクラスメイトと企画・運営した卒業制作展「紡」で展示しました。想像よりも多くの方々にご来場いただきました。
本当にありがとうございます。
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展示する機会はなかなかないので、今回の反省点を記録しておきます。
主な反省点
・最初のスペースでブランドコンセプトがもっとわかるボードが必要
(口頭で補足説明しており、手元の資料だけでは伝わっていなかった)
・体験スペースでは操作説明ボードのほか、香り・映像・音の組み合わせについて説明したボードを置いた方が、より体験の意図を汲んでもらえた
・体験がどこで終わるかがわかる映像(作品)にした方が良かった
(瓶を戻すタイミングを迷っている方が数名いたため)
・瓶を2つ持ち上げると、映像の動きが変わるような、見た人のアクションによる映像変化の追加 等々
展示スペース、作品ともに改善点しかありませんが、展示できてよかったです。
特に実際に作品を触ってもらい、お話しできたことはとても嬉しかったです。これから頑張る糧になりました。
あらためてご来場、ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
P.S.
展示の企画、運営って本当に大変だと痛感しました(その分、やってよかった幸福感もたっぷりですが)。
普段行く美術館や商業施設の展示、イベント等はたくさんの方の協力によって成り立っているので、これからはそこにも思いを馳せて展示を楽しみたいと思います。
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大変ありがたいことに、DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX 2022にて「ベストインスタレーション賞」をいただきました。
まさか受賞できると思っていなかったので、本当に嬉しいです!!!
ありがとうございました!!!