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任天堂のバランスシートの特異性
こんにちは。ワイプロと申します。
第四回の今日は任天堂株式会社を分析します。
昨今の外出自粛に伴い、Nintendo Switchの需要が急増しているとも報道されていますが、ゲーム機はこのような需要の変動に直面することも多いためか、少し特異なバランスシートの構成となっております。
※特に注記がない場合は、2018年度の決算をベースに記載しています。
任天堂の業績推移
まず始めに任天堂の業績推移を確認してみましょう。
ここ最近は、約5年周期で新しい据置型ゲーム機を発表しており、新型ゲーム機の人気が売上高と営業利益率に大きく影響し、業績の変動がとても激しいことが特徴です。
任天堂のバランスシート
今回の主題である、任天堂のバランスシートを見てみましょう。
まず、バランスシートの左側の資産の特徴は、一目瞭然ですが、流動資産の割合が極めて大きいという点です。また、有形固定資産の割合が比較的小さく、工場や各種装置が必要となる製造は大半を外部に委託していると推察できます。
次に、バランスシートの右側、負債と純資産の特徴は、こちらも一目瞭然ですが、純資産の割合が極めて大きい点です。
比較対象があるとさらに分かりやすいと思いますので、ゲーム業界のライバルでもあるソニーと比較してみましょう。
ソニーのバランスシートとの比較
やはり、任天堂の流動資産(黄色)と純資産(青色)の割合の大きさが顕著です。では、1つ目の特徴である任天堂の流動資産の内訳を確認しましょう。
任天堂の流動資産の内訳
任天堂の流動資産の約2/3が現金及び預金です。また、有価証券も18%と多いです。これはつまり現金及びすぐに換金できる資産を手元に潤沢に持っていることを意味します。最初に見た通り、任天堂は業績の変動が大きく、急激に需要が変動した場合にも耐えられるようにこのような構成になっていると考えられます。
次に、バランスシートの右側に移って、流動負債の中身を見てみましょう。
任天堂の負債の特徴 / 無借金!
何よりも重要なのが、有利子負債が一切無いことです。上記の図は流動負債ですが、固定負債も同様に有利子負債が一切ありません。有利子負債が0という極めて特徴的な方針も業績変動の大きさが要因の一つであるはずです。つまり、これだけ需要の変動が大きいと、銀行からの借入の条件は他の安定的な企業と比較して不利になるため、借入を敬遠していると想像できます。
資本コストの観点から、必ずしも無借金経営であることが優れているとは言えないのですが(詳しくは「WACC」で調べてみてください)、自社の置かれた事業環境に対してここまで明確な方針を持って対応するのは、個人的には敬意と畏怖の念を抱きます。
任天堂の純資産
最後に任天堂の純資産の中身を見てみましょう。
下の図は任天堂の純資産の抜粋です。株式市場から調達する資本金は1%程度で、98%を利益剰余金で賄っています。
ここから言えることは、任天堂は、銀行を始めとする借入だけでなく株式発行による資金調達にもほとんど頼っていない、頼るものは自社の過去の利益の蓄積のみ(というのは言い過ぎかもしれませんが)という、かなり明確な企業としての姿勢です。
余談ですが、任天堂は経団連に加盟していません。ここまで触れた任天堂のバランスシートの特徴も踏まえると、さらに任天堂の強い意思を感じるのは私だけでしょうか。免許や利権に守られているわけではなく、生活必需品を提供しているわけでもないですから、ユーザの心をとらえるような発想、遊び方の提案をし続けることでしか企業として永続することはできないという決意のようなものを感じます。個人的には、最も尊敬する日本企業の一つです。
まとめ
1. 任天堂は業績の変動が極めて大きい
・新型ゲーム機の売れ行きに会社の命運がかかる
2. 任天堂は売上変動に対応するため極めて特徴的なバランスシートを維持
・無借金経営、利益剰余金で企業運営の資金を賄う
・手元資金を多く確保
いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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