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運命みたいな再会から腐女子ソウルメイトになった同郷の友人が引っ越してしまった3~タイBL篇
【本編は無料で読めます】
一杯付き合って欲しくて書いている当記事も、これで最終回である。
どれだけの人が付き合ってくれているか分からないが、みんなどうもありがとう。
遅れて来ちゃったよ!と言う方は第一回目の記事からどうか付き合ってくれれば幸いである。
運命みたいな再会から腐女子ソウルメイトになった同郷の友人が引越してしまった1〜学生時代篇
ちびりちびり。
1、3次元という新世界
完全に腐女子に出戻ったMちゃんと私は、同級生を超え、ママ友を超え、腐女子仲間として絆を深めて行った。
ハマってくれたと言う私の推しマンガの続きを貸し出さねば。
そんな使命感に駆られている時だった。
例の感染症が日本にはびこり始めたのは。
学校も幼稚園も休みになり、外出自粛を推奨され、私たちはそれぞれ自分の家という狭い箱の中に閉じ込もることになった。
ストレスフルな毎日を愚痴るLINEのやりとりをしているうちに1年が経ち、うちの次女は小学生に、Mちゃんの第2子は幼稚園に上がった。
例の感染症について分かったことも増えて来て、飲食を共にしないなど、必要な事に気を付ければちょっと会うくらい良いんじゃないかなと思えるようになった頃、Mちゃんから突然LINEが来た。
「2getherっていうタイBLドラマが観たい」
一体どこからそんな情報を仕入れたんだ。
2getherというBLドラマは、ちょうど外出自粛が始まった頃にyoutubeで期間限定の無料配信をしており、ツイッターで「すごい良い」と話題になっていたタイの実写作品である。
ちなみにMちゃんはツイッター登録はしているものの、おそらく長い間ログインしていない。
2getherの無料配信を私も見たかったのだが、休校と重なったり何だりで忙しく、当時は結局見ることが出来なかった。
私は当然「それ気になってたドラマだから一緒に見よう」と返信した。
実は、Mちゃんは今まで3次元のBLにあまり興味がなかった。
我々の間には「BLはファンタジー」という共通認識があるのだが、それ故にMちゃんはビジュアルをとても大事にしていた。
キャラが3次元というリアリティを持つとなると、メインキャラが並みのイケメンではファンタジーに届かなくなる。
Mちゃんが3DのBLを楽しむためには、リアリティを超えるようなビジュアルが必要だったのだ(と、私は推察する)
そこへ行くと、2getherメインCPの攻めはとにかく、びっくりするほど、浮世離れして、顔が良かった。
私たちはそれぞれ動画配信サービスに登録し、LINEでヒャーヒャー感想を喚き散らしながら、全13話を恐るべきスピードで視聴したのだった。
2、青天の霹靂とオタクのフットワーク
この頃になると私たちもさすがに自粛し慣れて来て、オンライン飲みみたいなことをするようになっていた。
実際は子どもたちの外出時間である昼間にやるので、飲んではいないわけだが。
いつも通りBL話に花を咲かせるつもりで繋いだ通話で、私はMちゃんからの報せを受けた。
旦那さんの転勤が決まった、と。
正直な所を言うと、全然実感が湧かなかった。
だって、この感染症が蔓延してからほぼ会っていないのである。
オンラインなら離れていても話ができる。
カメラを繋げば顔も見られる。
だけど、ショックだった。
すごくショックと言うには実感があまりにもなくて、寂しいとも悲しいとも感情が動かなかったのだが、それでも何かショックだったので「ショックだ」と伝えた。
そう言えば、そのうち転勤になるかも、という話は何度か聞いていた。
聞いていたのだが、そう言いつつ10年くらい動きがなかったので、ずっとこのままのような気がしていたのだ。
だけどそもそも、名古屋に来たのだって転勤ではなかったか。
とは言っても、だ。
まあ年齢が年齢なので、世の中には仕方がないこともあると知っている。
奇しくもちょうどそのタイミングで、2getherの映画の公開が始まっていた。
一番近い上映館は、私とMちゃんの家の中間くらいに位置していた。
「都合が付けば一緒に見に行こう」と誘ったところ、映画を見たがっていたMちゃんは迷いなく「行こう」と返信をくれた。
ちなみにこの上映館、Mちゃんが以前友人に誘われたものの車の運転に苦手意識があり、慣れない道に不安が募るため同行を断った施設だと言う。
私も人のことは言えないのだが、オタクはフットワークが軽いという俗説を裏付けるのはこういう事例なんだよなあと感心するなどした。
3、さよならのかわりに
映画2getherは、ドラマ2getherとその続編ドラマstill 2getherの総集編に撮りおろしを加えたものである。
私は鑑賞日に間に合わせるためstill 2geterを夜なべで視聴した。
肉体はきつかったが、メンタルはみなぎっていた。
予定通りに映画を鑑賞したMちゃんと私は、ため息をつきながらスクリーンを後にした。
大音響で聴く攻めの声はたまらなかった。
ちなみに当記事のヘッダー画像は2getherのサラワットくんを描いてみたものである。
フルカラー絵を描こうと思ったものの、多忙過ぎて完成が見えなかったためラフ段階でMちゃんに送り付けた。
画質が荒い?知らん知らん、しゃらくせえ!
もしかしたら引越し前のMちゃんと会えるのはこれが最後かもしれないと考えた私は、餞別を用意していた。
2getherのムック本である。
手渡すと、Mちゃんはおおいに笑って喜んでくれた。
並んでベンチに座り、グラビアに腰を抜かしながら2人でページをめくった。
その時は興奮し切りで何も考えていなかったが、こうやって思い返してみれば何だか青春の1ページようである。
中学生時代の私とMちゃんでは、きっとこうはならなかった。
私たちが仲良くなるには、お互い別々に過ごした年月がやはり必要だったのだ。
そして改めて思うが、同窓会のあのタイミング、この距離の近さで再会しなければ、やはり仲良くなることはなかったのである。
どう考えても同窓会でのあの再会は運命としか言いようがない。
私たちはふたりの青春を、この10年間で改めて送っていたのだ。
4、あとがきによせて
私は元々人間に対する執着心が薄い方だし、友達と頻繁に会うタイプでもないし、この自粛生活だって割と悠々自適に過ごせてしまうくらい一人時間が好きだし、引きこもるのが大好きな人間だ。
Mちゃんと会うのは数カ月に1度くらいの頻度だったが、それにしたって私にとってはかなり頻繁だったのである。
最後に会ってからまだひと月しか経っていないので、正直「心に穴がぽっかり空いた」とか「すごく寂しい」とか、そんな実感は湧いていない。
だけど彼女は確かに引っ越してしまった。
我が家から車で30分の距離から、新幹線で2時間以上かかる距離へ。
相変わらずLINEのやりとりは続いているが、鈍感な私の心にもスキマ風が吹くくらいの実感はあって、それが何となく切なく物悲しいのだ。
このご時世じゃなかったら、引越し前に1回くらい2人で飲みに行きたかった。
この記事をMちゃんが目にするかどうかは分からないが、この歳になって思うこともある。
好きな人には直接愛を伝えてもいいのではないか。
この記事の、特に1回目なんかはMちゃんに話していない思い出もあるのだが、それを読んでもたぶん彼女は怒ったり気を悪くしたりはしないと思う。
恥ずかしいので迷うところだけど、気が向いたらこのURLを伝えようかななんてことも考えたりする。
とりあえずは、お互い引越しも落ち着いて手持ちの調味料が尽きた頃。
Mちゃんにふるさと名古屋便でも送りつけようかなと思っている。
ーーー了
○一杯奢ってくれる方へ向けた余談
以下は毎度恒例「しょうがねえ、一杯奢ってやんよ」という神様みたいな方へ。
本題に関係ないかなと思って削った、Mちゃん引っ越し後の大したことない話です。
余談内にちょっと書いた家の建て替えについてはちょっとずつマガジンにまとめている所なので、ついでに読んでもらえたら嬉しいです。
築40年のすき間風上等床きしみ雨漏り邸宅を建て替えるまでの失敗続きの記録であります。
【後日談】光のない私たち
Mちゃんは引っ越して行った。
子どもの2学期が始まったらTELASAに入ってタイドラマをゆっくり見まくる、と言いながら引っ越して行った。
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