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大人の事情に翻弄される生徒と、過去を背負う教師に芽生える絆【先生のためのシアタールーム】

こんにちは!代ゼミ教育総研note編集チームです。

冬休み間近の、【 先生のためのシアタールーム 】では、 #冬に観たい映画 を2本ご紹介。どちらも「寮」で起きる物語です。

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1本目は、70 年代のアメリカ、ボストン近郊にある男子寄宿学校のクリスマス休暇中のできごとを描いた映画のご紹介です。

学校に集う生徒、教師、スタッフそれぞれの事情や悲しみを通して、誰しもが何かを背負って生きていることを考えさせられます。

第96回 アカデミー賞(2024年)では助演女優賞を、第81回 ゴールデングローブ賞(2024年)では最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ)と最優秀助演女優賞を受賞した話題作です。

原題 The Holdovers
製作 2023年(アメリカ)
主演 ポール・ジアマッティ
監督 アレクサンダー・ペイン


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▼あらすじ
大人の事情に翻弄される生徒と、過去を背負う教師に芽生える絆

時は、1970年のクリスマス。

普段は寄宿生として過ごしている生徒たちも家族の待つ家へ帰っていく・・・ところが、学校に残る者たちもいた。

そして、最終的に残された3人――
頑固一徹で生徒たちから嫌われている教師ハナム、頭は切れるがいつも反抗的な生徒アンガス、そして、息子を戦争で亡くし悲嘆に暮れながらも寄宿生たちの食事を作り続けるメアリーは、遠出禁止のルールを破り、こっそりボストンの街中に繰り出してしまう。そこで、意外な展開が起きる・・・

ハナムは、アンガスとボストンの街中を歩くさなか、ひょんなことから自身の過去をさらけ出すことになってしまう。

その一方、アンガスも、なぜボストン行きにこだわっていたのか、そして、そこに隠されていた家庭の事情も暴露されてしまうことに・・・。

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💡研究員はこう考える

アカデミー賞やゴールデングローブ賞に輝くこの作品は、米国の名門ボーディングスクールを舞台に展開されていますが、名門校を讃えたり美化したりするのではありません。卑猥な会話が飛び交い、喧嘩や暴力の絶えない男子校の日常の風景がそのまま描かれています。

かたや、いわゆる富裕層の親たちが、金にものを言わせて、息子を名門大学へ進学させようと、学校に対してプレッシャーをかけてくる様子もストレートに描かれており、いわゆる“大人の事情”が学校現場で渦巻く様子が垣間見えるのです。

ハナムは、“大人の事情”に翻弄されるアンガスに寄り添う決心をし、ある行動に出ます。これが、この後待ち構える切ないラストシーンにつながっていくのですが、観る者は、二人の間に芽生える絆と、ハナムがアンガスを励ます「君の過去が人生の方向を決めたりはしない」との台詞に、心を揺さぶられます。

それとともに、古今東西いつの時代にも、子どもは大人のエゴに振り回されがちな存在であること、そして、教師も、過去を背負うか弱き一人の人間であることが、映画を通して浮かび上がってくるのです。

レトロ調のフィルムからは 1970 年代のアメリカの魅力や文化も伝わってきます。


次回は、寮を舞台にした不朽の名作映画をご紹介!


本記事は、教育ニュース最前線vol.07に掲載した内容を編集の上、再掲したものです。

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