理系アレルギーの方、大きな機会損失になっていませんか?【先生のための本棚】科学大好き!を育てたい!
今回、書籍紹介を担当いたします、高校支援チームのSと申します。
普段は、教員向けの講座やSNSの運用を担当しています。
そんな私の出身学部は理学部で、生物や環境学を勉強していました。
今の仕事では、大学での専門的な知識を使うことはほぼありませんが、そんなゴリゴリの理系ではない私だからこそ、お伝えできることがあればと思い筆を執った次第です。
数学・化学・物理 ── 文字だけで「うっ!」となってしまう、理系アレルギーの方、大きな機会損失になっていませんか?
理系科目は数字や記号だらけで難しい?
敷居が高い?
説明を聞いても何が何だかわからない?
確かにそんな面もありますが、私にとって理系科目は……
身近に発見があり、日常にワクワクが隠れている、そんな面白くて、楽しいものとして刷り込まれています。
どうしてそう感じるようになったのか、「読書体験」に絞って「理系に興味を持つきっかけとなった本」についてお話させていただきます。
※似たような出会いをした同志もいらっしゃると思います(ぜひいて欲しい!)が、あくまで私個人の体験としてお読みください。
高校の理系・文系選択では迷わず理系を選びました。
そこから遡って、「リケジョ」という言葉が出てくるより、さらに昔、子どもの頃の私は理科大好き女子でした。
なので、今回はまず「理科が好きになったきっかけの本たち」をご紹介いたします。
① 学習まんが・ふしぎシリーズ(全国こども電話相談室)
まず、幼少期の愛読書がこちら。
学習まんが・ふしぎシリーズの
『理科のふしぎ 遊びと手品』『からだのふしぎ』『地球のふしぎ』『宇宙のふしぎ』。
小学館から発行された学習まんがシリーズ。
図書館などで読まれたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昭和~平成初期にかけて60冊以上のシリーズが刊行されたようですが、我が家にあったのは、この4冊。
私の物心がついたときから本棚に鎮座していたので、7歳上の兄のために買われた本だと思います。
(現在は絶版、中古でもかなり価格が高騰しているので、読んでみていただくのがなかなか難しそうです……。もしかしたら、図書館などの蔵書にはあるかもしれません。)
私が読んでいたものは、
「全国こども電話相談室」で集まった疑問に答えるシリーズなのですが、1つの問に対して2~4ページでまとまっていて、サクサクと楽しめます。
科学を中心とした様々な事柄について、わかりやすい解説・情報もたっぷり記載されています。
かわいい絵柄、クスッと笑えるユーモアもちりばめられていて、漫画としても面白い作品です。
学校から帰った後、ちょっと暇なときには本棚から出して何度も何度も読みました。
特に好きだったのが『理科のふしぎ 遊びと手品』という本で、
遊びや手品に使えそうなマメ知識が詰まった本なのですが、出てくる実験はほぼ全部、試してみました!
「ホントだ!」とうまくいくこともありましたし、記載通りにいかず「あれ?」となることもありましたが、だからこそ「これはいけるのか!?」とドキドキしながらチャレンジしました。
また、知恵として身についたものもあり、
いまだにペットボトルを濯ぐときはぐるぐる回していますし(中で渦ができて早く流れ出てくる)、デコレーションケーキを切る前はナイフを温めます(熱でクリームが綺麗に切れる)。
今回、改めて読み直してみると、今では正確ではない情報・データも多々ありますが(なにせ初版は45年前!!)、
これぞ理系分野に興味をもつきっかけでした。
なんでこんなに、このシリーズをヘビーローテーションしていたのでしょうか。
もちろん本自体の魅力もありますが、今思うに、
「リビングのすぐとれる場所にあった」
「7つ歳上の兄が面白そうに読んでいた」
「勉強になるから読みなさいと言われたこと(強制)がなかった」
のが大きいのかな、と思います。
そんな私も今では子の母、自分のこどもにも同じ楽しみを味わってほしいと思い、リビングの本棚にいくつか本を仕込んでいます。
(どれも有名な学習まんがシリーズですが……)
② ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学
中学の国語の教科書に載っていた『ゾウの時間 ネズミの時間』。
授業で習った後、もっともっと続きが読みたくて図書室で本を借りました。さらに卒業後も読みたかったので、書店で購入しました。人生で初めて買った新書です。
こちら、国語で取り扱われるだけあって、とても読みやすい文章なんです。
1ページ目から「ネズミはちょこまか」「心臓がドキン、ドキンと打つ時間間隔」「秤にポイとのせれば」などなど、テンポの良い語り口がたまらない!音読したくなりますね。
タイトルの「ゾウの時間、ネズミの時間」も絵本のように親しみを持てます。
などと思っていたら、本当に絵本になっていました!
こちらも、どうしてこの作品に惹かれたのか、改めて考えてみました。
当時はその感情をうまく言語化できませんでしたが、
「理科って、学問って、物語なんだな」と実感したことが、14歳の私にとって衝撃的だったのだと思います。
私の手、指が、この形・サイズになったのにもストーリーがある。
それはどんな物語なのか。
生物学はそれを解き明かしていく壮大なミステリ――といえるかもしれません。目の前で起きた変化はあくまで結果であり、その背景には原因から発生するストーリーがある。
とてもわくわくしてきませんか?
中でも私が好きな章は「第十四章 勅皮動物——ちょっとだけ動く動物」です。
だれでも頭に浮かべることができるヒトデやウニ。知ってるけれど、どうやって生きているのかはよく知らない、彼らについての章です。
ヒトの視点からしたら、ゆっくりとしか動けないし形は奇抜。一見、非効率に見えますが、実は別ベクトルではとても素晴らしい戦略とデザインをもっていました。
読んでいて「へぇ~!」が止まらなかったです。
また、生物学は昔の学説がひっくり返ることがよくあります。
しかし、旧説に対して否定の言葉は述べず、あくまで反する実例から紐解くように一歩ずつ訂正・解説していくので、読んでいて気持ちがモヤモヤしないのも本書の長所だと思います。
学問にはユーモアも大切ですね。本書を子どもたちに勧める際にはぜひとも、「研究者」は白衣に眼鏡、眉間にしわを寄せた気難しい人物だけではなく、
こんなにユーモラスで研究愛にあふれる「研究者」がたくさんいることを伝えてほしいです。
最後に、付録がとっておきのお楽しみ!なので、ぜひお手に取ってみてください。
(こちらはすぐに購入できますので!)
図書室ですぐ隣にあった『ヒマワリはなぜ東を向くか』も、とても読みやすくて(一部難しい用語も出ますが)中学生でも楽しめます。
保護者の皆さま、先生の皆さま。
理系への興味を育むべく、読書からのアプローチはいかがでしょうか。
マガジンのフォローはこちらから⇩
読書つながりで、こちらの記事もいかがでしょうか⇩