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波紋を呼んだ"テスト式"大学推薦入試、実施。果たして倍率は⁈【教育ニュース最前線】

【教育ニュース最前線 臨時増刊号】
日々報じられる教育関連情報から、教育業界への影響が大きいと思われる内容を、代ゼミ教育総研 研究員・編集チームが厳選してピックアップ。
それぞれの分析・私見を述べます。
教育・学校・入試について関心がある方々の、考えるヒントとなりましたら幸いです。

実施前から大きく話題となっていた、東洋大の「学力テスト方式の推薦型入試」が2024年12月1日に実施されました。



志願倍率と、文科省や高校の反応

▼倍率35倍の人気、東洋大の新入試が物議 「ルール違反」と文科省(朝日新聞デジタル・2024/12/1 ※有料記事)

朝日新聞が受験日当日に、記事を公開。
 
これまでは教育関係者を中心に話題となっていましたが、この記事でますます世間に知れ渡ることになるでしょう。

記事では、出願結果は約2万人、約35倍の志願倍率になったことが書かれています(1日夕方時点では大学HPでは未発表のようです)。

試験に臨み、終わったばかりの受験生たちはこうした報道を目にして、はたしてどのような気持ちになるのでしょうか。
とても気になるところですが、来年度以降、同様の試験を検討している大学もあるはず。

「文部科学省は『ルール違反』と指摘し、高校側からは『高校教育を壊す』と厳しい批判も出ている」ことが明るみに出たことで、躊躇や様子見となるところも出てくるでしょうし、すでに既成事実となってる関西の大学にも影響が出るのか、文科省を含めた今後の動向を注視してまいりたいと思います。


新入試形式が与える影響は?関西では既に実施あり

過去の新聞記事からも振り返ってみましょう。

▼【変わる大学受験】東洋大学が2科目で「学力判定型」の公募推薦を開始 併願可能で「多くの大学が追従する」と専門家(朝日新聞Thinkキャンパス・2024/8/8)

▼年内合格出す入試めぐり学生獲得争過熱…筆記メインの推薦は関西で広がり関東にも(読売新聞オンライン・2024/11/22)

今回の東洋大の新入試は、テスト形式の面で見れば、

「学力のある学生をできるだけ早く確保したい大学
「早期に合格を決めてしまいたい(けれども独自の対策に時間は割きたくない)受験生
「書類作成や面接指導の手間が省ける高校教員

3者の思惑が一致して、大ブレイクする可能性もあります。

すでに関西の大学では定着している方式ですが、他の首都圏の大学も追随し一気に広がるとなると、単なる一般選抜の前倒しと同義となり、高校教育の空洞化も深刻な問題となります。

また、
「入学申込金が収入源の一つになる大学
「合格を確保したことで安心して第一志望校の受験対策に専念できる受験生
というプラスの側面もありますが、一方で、有力な大学以外の募集状況がさらに悪化する要因となる可能性が高いでしょう。

▼(参考記事)春入試で明らかになった多くの私立大での定員割れ。そこには“定員厳格化の緩和”の影響があったのか―厳格化のルール・経緯を確認(代ゼミ教育総研note・2023/12/8)

受験業界的には、こうした学力テスト方式の年内入試が広がれば、今度はそれらについてのより明確な目標ランク(偏差値)が導き出されることにもなるでしょう。本来の推薦入試のあるべき姿と、推薦入試の抱えるジレンマと…

▼(参考記事)「特別選抜・年内入試」の抱える課題ー慶應義塾大学から始まったあの入試制度から振り返る【入試制度改革ヒストリー(前編)】(代ゼミ教育総研note・2024/8/5)



東洋大の推薦入試の歩留まり率が最終的にどうなるか、今後の年内入試がどうなっていくのか、代ゼミ教育総研noteでも引き続き注目してまいります。


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