51歳、終の住処を考えるきっかけ事件 ②
どうにか介護タクシーを手配し、病院までに迎えに来てもらった。
運転手さんが、出てきて、
『大変でしたね〜、気をつけてお送りしますからね〜』と、一言。
さんざん、医師や看護師から、入院できない、家に帰ってとドライに言われたものだから、やけに沁みる。
ただ、母は介護タクシーの方が持ってきてくれた車椅子に乗り換えるだけでも、
尋常じゃない痛みらしい。
ドライバーさんと2人、母を励ましながら、やっとのことで、タクシーに乗りこんだ。
病院の人たちは、その様子を遠目から見ている。。
手伝っちゃいけない法律でもあるんですか!?
いや、期待するから、腹が立つんだって、と自分に言い聞かせて、介護タクシーの窓から、病院を見つめた。
タクシー乗ったら、5〜6分で家に着いた。
さてさて、ここからが大変。
うちの玄関先には、門扉をあけるために、30センチほどの段差がある。
歩けない、車椅子もさすがに無理。
抱き上げるしかないけれど、
痩せていて小さな母といえど、
40キロはある。
介護タクシーのドライバーさんにお願いするしかない。
介護タクシーのドライバーさんは、
一応、介護講習などを受けているらしいけど、やはり介護職の人ではないので、
ケガ人高齢者を抱き上げることに緊張している様子。
抱き上げようとするたび、痛みで悶絶する母と、真冬なのに汗だくのドライバーさん。
どうにか抱き上げてもらい、玄関のドアまでたどり着いた。
次は、玄関から上がりかまちが、また段差、母の部屋へ運ぼうと思うものの、これまた段差。
いや、一体、なんで家はこんなに段差だらけなんよ!?
すいません、ドライバーさん。
母の部屋の前で、はたと気づく。
普段、母は畳の部屋に布団を敷いて寝ている。
このまま、母を布団に寝かせてたら、
後が大変なんじゃ?と。絶対、起き上がれない。
そこで、ベッドのある私の部屋に変更。
そして、また段差。
なんやかんやと豪邸でもないのに、
玄関先から30分くらいかけて、
どうにかベッドに寝かせることができた。
介護タクシー、8000円くらいだったかしら。乗っている時間は5〜6分だから、一般タクシーならワンメーターくらいなんだろうけど。
こんなに体力使ってもらって申し訳ない。
適正価格がいくらかはわからないけど、
ホント、助かりました。
汗だくで帰っていくドライバーさんを見送った。
段差だらけの家を見渡し、
これからの生活を想像してゾッとしたのだ。
この先、どうすんの、これ。