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矢沢永吉に似てる人からサッカーを教わった。

タイトル通りである。
小学校時代のサッカークラブの指導者。
その名もエイちゃん。


エイちゃんはあだ名。
矢沢永吉に似ていたので、親しみをこめて皆から呼ばれていた。実際のエイちゃんは矢沢永吉を極限までイカつくした感じ。


いってしまえば、細身のヤクザ。
いかついサングラスを常にかけていた。
タバコをふかしながら、年に数回グラウンドに突然現れる。


レアキャラのエイちゃん。彼は、全コーチの師匠的な立ち位置。毎日指導してくれている若いコーチ陣もエイちゃんの前ではピリつく。

練習を一旦中断し、指導はエイちゃんにバトンタッチ。ボクたちは、エイちゃんが決めた練習メニューをこなさなければならなかった。


ちなみに、練習は平日17時〜19時。にもかかわらず、照明はなし。もちろん土のグラウンド。サッカーコートの半面を中学生年代が使い、残りを小5と小6で分けて使う。エイちゃんは仕事の関係か、18時以降に現れた。そして、全カテゴリを指導してまわった。


存在感この上なし。


登場と同時に一気に張り詰める空気。駐車場から人影が見えた瞬間、僕たちは小声でザワついた。「エイちゃん来たで」とコソコソ言い合う。人影がエイちゃんと断定すると皆が口々に「最悪や」と漏らす。ほぼ確実に怒鳴られることと、本数制限なしの50mダッシュ(走り込み)を覚悟する。

そう。エイちゃんはとにかく怒鳴る。
ドスのきいた声で選手を怒鳴りつける。
うまくいかないプレーをすると容赦なく「下手くそがぁぁぁぁぁ!」と怒鳴りつける。そして、練習の最後には、本数を決めず50mダッシュ。地獄である。

ただ、褒めるときもある。普通、褒められたら嬉しいものだが、エイちゃんから褒められても怖いだけだった。


忘れてはいけない。
エイちゃんは細身のヤクザなのだ。


不健康そうな細身の黒スーツを着たエイちゃん。ポケットに手を入れ、肩を押せば倒れるんちゃうかと思うくらいに踏ん反り返り、タバコをふかしながら練習をみる。


エイちゃんは、ドスのきいた声で「お前ええやないか。ええ筋しとるど」という感じで褒める。声をかけられたら、内容に関わらず恐怖を感じさせるタイプの輩だった。それがどんなにいいアドバイスでも怖さが勝つ。



とまぁ、ここまでは、ただただヤバいヤカラのエイちゃん。だが、今思えば、指導自体は、ちゃんとしていた気もする。というのも、練習メニューもエイちゃんが伝えようとしていることも割と理にかなっていた。


例えば、ドリブル練習。難しいことは一切せず、15mほどを真っ直ぐドリブルするだけ。選手が横一列に並び、せーのでスタートする。

このような練習の場合、スピードを競うのが主流。しかし、エイちゃんの練習では出来るだけ遅くゴールしなければならない。かつ、触れるだけボールを触ること。要するにいかに細かくタッチ出来るかということを競った。


このドリブル練習、ボールタッチを優しくしなければいけない。それができなければ、ボールをポーンと前に蹴ってしまい、すぐにゴールしてしまう。それではダメ。いかにチョンチョンチョンチョン細かく触って、誰よりも遅くゴールできるか。


当時は、チームメイトのほとんどが練習の意味を見出せず、はよ終われとばかりにテキトーにドリブルをしていた。が、ワイはエイちゃんが怖すぎたので従順に従った。


誰よりも遅くゴールしたワイは褒められた。けど、やっぱりすっごい怖かった。すこーしだけ嬉しかった。


今思い出しても輩のエイちゃん。25年前だから通用した。ウチのクラブにとってエイちゃんは、総監督的な立ち位置だったし、チームの首領ドンだった。なぜか保護者のお母さんウケもよかった。


スポーツの世界に、たまにいる。グラウンドに入れば、人格が変わる奴。エイちゃんはその類だったのかもしれない。サッカーに対して、エイちゃんなりに真摯に向き合った結果の顔だったのかも。もちろん、今でも全肯定はしがたいがw。


少なくともボクにとって、ドリブルの基礎の基礎を教えてくれたのはエイちゃん。チョンチョンドリブルは、全サッカー少年少女にやってもらいたい。


エイちゃん、当時で40代手前くらいの印象。今なら70歳手前くらいか。矢沢さんとこのエイちゃんと同じように現役であってほしい。


どっかでサッカーしてたり、指導してたらカッコええ。キツめの紙タバコを吸いながら、今日もどこかで怒鳴っててほしい。ただし、本数無制限ダッシュは、もしかすると体罰として捕まる勢いなので、今現在どこかでやってないことを祈る。


・こぼれ話

フォロワーさんのnoteを読んだことがきっかけになり、エイちゃんのことを思い出しました。昔って今と違っていろんな人キャラバグってるヒトたくさんいたような気がします。

子供の頃、怖かった大人覚えてますか?
今思えば、あの人何やったんやろう・・・?とか
なぜかあだ名ついてた変な人とかw。

子供の頃の記憶って、そう考えるとネタの宝庫でしかない。


・最後に一曲


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