本を書く(光の跡)|#シロクマ文芸部
本を書く
本を読む
本の物語を読む
本の言葉を読む
本の想いを読む
本の想いを想う の 本 は
例えば
ガラス張りで洒落た
図書館の窓辺
背表紙が陽に焼けて
青く色褪せた 本
部屋の隅
自分の番を待ち続け
上に積み上げられた
ライバルたちには
到底敵わないと
押し潰されている 本
受験生のリュックサックの底
役目を果たし
お守りのように
本来の目的は失っているけど
ただ旅を共にしている 本
良いものだと 売れに売れて
たくさん消費され
ブックオフでの低価格に
価値とは何かと
この世界の複雑さに
打ちのめされた 本
人から人へと回されて
壊されて
リサイクルされ
焼かれたりしながら
消えてゆく 本
消えてゆくのに なぜ
その 本 の
紙に書かれた記号は
紙と共に消えるけれど
確かにそこに存在する
目には見えない 想い は
初めから物体を失っていることにより
そもそも 消える ことなんてできず
いつしか
ものからは
切り離されて
永遠に宙を舞い続けていく
(おわり)
◇ #シロクマ文芸部 に参加させていただきました。
「本を書く」楽しかったです。
仕事に追われて、今回はお休みしようかな…と弱気になりますが、、参加できて嬉しいです。
ありがとうございました!
「消えてゆくのに なぜ」は、星野源さんの新曲「光の跡」からの引用です。
(わーい)
この曲を聴いていて「永遠に消えないものは、初めから消えているもの」なのでは?と説明がとても難しい感覚ですが…。
「本」と「光の跡」結んでみました。