
台湾の中醫(漢方医)に通っていた話
台湾で結婚していなかったら、私の人生に出産という言葉がなかったのではないかと思うことがある。学生の頃から生理不順。社会人に入るとそれは一層酷くなり、年に2,3回しか月経が来ないこともあった。時折産婦人科に行くものの、仕事後に慌てて行かないと間に合わない、職場からも家からも少し距離がある、何より忙しくなると後回しにしてしまい、定期的に通うことはなかった。仕事が忙しい時期には、不正出血が起こったりと、当時この状況をそのままにするとこが将来結婚した時にどう影響するかは深く考えられずにいた。
台湾に来て一年経たずに結婚、仕事の区切りとして三年は働きたいと思っていたこともあり、もう30歳を迎えていた私だったけれどどこかで妊娠はまだ、と思っていた。しかしネット上で妊活、不妊治療、という時を時々目にしていたので、産みたい!と思いすぐにそう実現しないこともわかっていた。ましてや、もう20代は過ぎてしまい、何より生理不順がずっと続いている私は、果たして子どもを持つことができるのか。そんな不安も頭の隅にいつもあった。
台湾に来て2年ほど経った時、まずは生理不順を治そうと台湾の産婦人科に行くことに。その時に検査をしたところ、無排卵月経状態だった。今すぐに妊娠を望んでいたわけではなかったものの、私はこれから先妊娠できるのか?と言う考えが頭の中に巡り始めた。2,3ヶ月産婦人科の薬治療を受けてみたものの、あまり効果なし。
そして旦那から中醫(漢方医)に行ってみよう、と提案があり、不妊治療という考えもあったけれど、まずは私の体を整えよう、労わろうと決意。
近所のおばあちゃん先生の中醫に通うことに。特に評判を気にして選んだのではなく、1番近いから。けれど、後になって知ったのはわりと評価も良いおばあちゃん先生だった様子。とても穏やかで優しい雰囲気。
結果として通ったのは約8ヶ月程。二週間に一回のペースで通った。毎回脈を見てもらい、鍼治療を受け、漢方をもらった。中醫も保険対象なので値段はそんなに高くないものの、処方されていた液体の漢方は朝夜二回分で毎回2000元ほど払い、それが月二回で4000元、、、値段もそうだけれど、なかなかなお味の水薬をきっと効果があるんだと信じつつも苦しみながら飲んでいた。
元々漢方で体が整うのに時間がかかり、6-9ヶ月くらいはかかると言われていた。本当に半年ほどで月経が落ち着くようになり、そのタイミングで妊娠のための産婦人科の薬治療も再開。それが夏の少し前。そして、台湾の暑さが少し和らぎ始めた頃妊娠が発覚。
今でも忘れられないのが、検査薬をするよりも先に、中醫の先生が私の脈を見ながら、「妊娠してると思う」と教えてくれたこと。私の中国語力が足りないこともあり、毎回旦那の同伴だったけれど、その様子は通訳をしなくてもわかり、驚きよりもただただ安心をした瞬間だった。
その後はその言葉を信じ、一週間ほどたち検査薬で確信。産婦人科を受診、、となり、今に至る。
ただ、元々ホルモンバランスが不安定ということで、安定期まで産婦人科で毎週のように、そのための注射をしていたこともあり、中醫に通い始めて合わせて1年間ほど、病院通いをしたことになる。
この話は漢方医にいけば妊娠しやすいよ!ということではなく、私の体が台湾の漢方に合っていたということもあるんだと思う。私の友人は体調不良が続き漢方医に行ってみたものの、漢方が合わず余計に調子が悪くなってという。
けれど、西欧医学だけでなく、東洋医学という選択肢が生活の中にあり、さらに産婦人科も中醫も仕事が終わった後でも間に合う時間まで開いているという台湾の環境だったからこそ、生理不順と無排卵月経の私が退職予定を前に妊娠にたどり着けたのだと思う。
もしも台湾人と結婚、または駐在をしていて、妊娠についてだけでなく、身体の不調を感じている人は、漢方医で診てもらうことも選択の一つとしておすすめします。
ただ、漢方は日本の葛根湯の10倍はまずいことを覚悟で!