見出し画像

脳血管性認知症

この記事はYouTubeクリニックの解説記事です。
一般の方向けに解説しています。実際の治療にあたっては個別性もありますので主治医とよく相談の上で決定してください。

脳血管性認知症はアルツハイマー病に続き2番目の認知症の原因疾患です。(*1)

画像1


【原因】
脳血管性認知症は基本は血管の梗塞や破綻に伴う脳機能障害です。
細かく見ると
・皮質下血管性認知症(多発ラクナ梗塞や、ビンスワンガー病)
・脳アミロイド血管症(アルツハイマー病でも出てきた老人斑の物質)
がありますが、現象を図示すれば以下のようになります。(*2)

画像2

梗塞や出血が生じた部位事に機能が低下していくため症状は段階的に進みます。(*3)。脳卒中患者の3割は脳卒中後認知症となると言われています。

画像3

アルツハイマー病は(記憶を司る)海馬から病変がじんわり広がっていったことに対して血管性認知症は損傷した部位の機能が下がるため、一般に次の違いがあります。遂行機能障害(計画立てて物事を進める)や歩行に障害がが早期から現れ、記憶障害は軽度です。また感情の衝動性や抑うつなどが認められるようことも多いです。

スクリーンショット 2020-08-30 18.45.58

責任病巣が基底核や前頭葉白質である場合はパーキンソン病と似た症状を認めますが、歩行の仕方はやや違います。

スクリーンショット 2020-08-30 19.11.12

【治療】
基本は脳卒中の予防と対症療法になり、前者は好血小板薬、後者は認知機能に対する薬や抗うつ薬などを用いるが、やはり根本的な治療はありません。

【予防】基本は血管メンテナンスになります。特に糖尿病と高血圧のリスクが高く、血管性認知症の場合、アルツハイマー病と比べて軽度の高血圧でもリスクが高くなる事が示されています。以下に示すように血管病変がアルツハイマー病の発症にも寄与するため、アルツハイマー病との合併は報告は0%~55%と開きはあるものの、潜在的に多い事が示唆されます。

スクリーンショット 2020-08-30 19.27.52

スクリーンショット 2020-08-30 19.35.47

【参考】
認知症イメージングテキスト
認知症疾患診療ガイドライン2017

引用
(*1)認知症ネット:認知症とは?原因・症状・対処法から予防まで
https://info.ninchisho.net/mci/k10
(*2)国立循環器病研究センター:[107] 認知症とたたかう
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph107.html
(*3)日本精神神経学会:血管性認知症
https://www.neurology-jp.org/public/disease/vascular.html

いいなと思ったら応援しよう!