職場ドミナンス──スーツを着たサルたちの権力闘争。会社の中でサラリーマンたちが見せる支配-従属ディスプレー。 #offidomi ⑴ | エボサイマガジン
# 会社の中に存在する支配階層
これまで「#Domini」シリーズでは、動物界に存在するドミナンス階層の生物学的力学について説明してきた。;
(読んでいないヒトはこちらから)
>筋トレをし、RHPを増強する -この残酷な世界をタフに生き抜くために- #Domini ⑴
>ドミナンス·ヒエラルキーの進化:支配者の論理、そして従属者が階層に服する論理。#Domini ⑵
────だけど、ここで残念なお知らせだ。
じつはホモサピエンスが形成する社会の生物学的特異性の一つに「暴力の排除」が挙げられる。
もう一度確認しておこう。
ドミナンスとは《暴力》に基づく支配階層だ。
高ドミナンス個体は《暴力》を振るうぞと脅し、低ドミナンス個体は《暴力》を振るわれたくないという恐れから服従する。
#Domini ⑵で説明したように、そうすることにまったく適応利得がないのなら、従属という行動戦略は、自然淘汰のアルゴリズムによって進化することはできないし、できなかった。
「みずからの生命を守ることができる」、すなわち「ドミナンスを振るう者に殺されないで見逃してもらえる」という"利益"(マイナスからゼロになるので + だ)のために、服従は進化したのだ。
しかし、《暴力》が社会から取り除かれれば?
高ドミナンス個体が《暴力行使》をできなくなれば?
────動物界では「自然と」成立するドミナンス階層というものは、人間社会では「自然と」成立できなくなる。
いや、人間社会に地位階層が存在しないと言っているわけじゃない。
アニマルロジックに司られた原始的なドミナンス力学が正常に働かなくなることにより、
フィジカルの強さと暴力だけに基づく動物界にみられる「従来型ドミナンス階層」は、人間社会においては成立しなくなった
ということを言っている。
進化心理学者のスティーブン·ピンカーは述べている。;
(スティーブン・ピンカー著、幾島幸子, 塩原通緒 訳『暴力の人類史 上 』青土社、2015年)
────お分かりだろうか。
ドミナンスは、文明化した社会ではもはや時代遅れの遺物となってしまったのだ。
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進化心理学(EP)「遺伝子とは、無意識のうちに私たちを動かすものなのだと頭に入れておいてほしい」by ロバート=ライト.心の働きは母なる進…
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