娘の質問に答える「なぜ戦争に行くのに万歳なの?」
戦時中を描いたドラマのシーン
あるドラマを11歳の次女と見ていた。
出征のシーンで、戦争にいくことが決まった人が軍服を纏い、どこか虚に一点を見つめ「お国のために戦ってきます」と口にし、多分近所の人や家族を描いているのだろうけど、周りの人が万歳をしている。
中には涙を流す人も混じる。
その後、日の丸の国旗をマントのように、文字通り背中に背負って歩いていく。。。
そんなシーンだった。
見ていた娘が、私に聞いてきた。
「なんで戦争に行くのに万歳なの?」
なんで戦地に行くのに万歳なのか
他の人はなんと答えるだろうか?
小学校5年生は学校でどのように習うのだろうか?
一瞬で、脳内をいろいろな言葉が駆け巡った。
知っていることを伝えよう。
私は、そう決めた。
「この字はなんて読むの?」みたいな、答え方に困らない質問に答えるように。。。
・当時の社会は今では考えられないくらい狂っていた。でも、当時に生きていた人はそんな風には思っていなかった。
・「国の戦力として敵国と戦えるメンバーに選ばれることは誇らしい」、「選ばれし人間である」という意味を根底にして周りの大人は万歳をした。
・しかし、「戦地に行ったらこの人は帰ってこない」と家族は気づいている。だから涙する。
・とは言え、当時の国の状況から「行くな」も「行きたくありません」も「行かない」も選べなかった。
・冷静に考えて、訓練されていない一般人を戦地に送り込まなければいけない状況は異常だ。それくらい人がいないのだ。
・人を殺す訓練を受けていないのに武器を渡され、戦場に送り込まれる。戦争をするっていうのは、そういう世界だ。
・私の祖父は帰ってこれた。しかし、帰ってこれない人はたくさんいた。
・戦時中の、どのタイミングを描いたシーンかはわからないけど、戦争っていうのは大まかなイメージってそういう感じ。
こんな風に伝えた。
偏った情報だっただろう。私の主観が大いに入っているだろう。
本当は隣国との関係とか、なんで戦争になってしまったかとか、もっと色々伝えなければいけないことが多かったようにあとから思った。
資料を開きながら史実を伝えた方がよかったかもしれない。
そんな風に思いながら、ドラマのシーンと関係ありそうな背景を娘に解説した。
「ふ〜〜〜ん。」
娘はわかったようなわからないような、そんな返事をした。
あの場面で「なんで?」と疑問を持ってくれた娘の感性によって、「私の方が狂ってきているかも」と感じられた。
知識を持っているからこそ、スルーしてしまいがちだ。
「万歳じゃねえだろ!」
くらいのツッコミを出せてもいいはずだ。。
定期的に戦時中、戦後を描いた作品が世の中に出てくるけど、何かしらの意味を含んだ出来事なのだろう、と思った。
人権、生きる権利
今でこそ、「人権」、「生きる権利」をいう声が大きく聞こえる。
何かしらの立場の弱い人の命を軽んじてはならない。そういう意味があるのではないか?と思っている。きっと他にもたくさんの意味があるだろう。
人権、生きる権利、が強く言われ、「どう生きるか」みたいなテーマも多く目にする。
そうだろう。
日本でも一時は、もしかしたら今も、人が人の「生きる権利」を奪う。
命は大切だ。
生きる権利を奪ってはならない。
確かにそうだ。
そうなのだけど、それは死に場所や死ぬタイミングをなくしていることにもなるような気がしている。
生きる権利と同時に、死ぬ権利もあって、それを自由に選べるのが人権なのではないか?と思ったりするのは、私が狂っているからなのだろうか。
自死、自害、自殺、いろいろな呼び方があるだろうけど、自分で自分の命を断つ行為は、現代の世の中ではタブーとされている。
殺人といえば殺人だし。。
人間が言葉や知識や論理を身につけたことで、自然の摂理から切り離されたようにも感じる。
権利を奪う行為は現代も?
戦争が残酷なのは、死ぬつもりではなかった人の生きる権利を、他の生きたい人が奪うからだったり、死を選ぶ権利を剥奪されて「国のため」にその権利を行使させられるところにあるのかもしれない。
そして、現代の難しさは、「とにかく生きていなければ」みたいな観念によって「自然な死」(もしかしたら死ぬ権利)が遠ざけられていそうなところかな、と思う。
生きるのも死ぬのも、考えてしまうと遠く及ばない場所にある存在のようだ。それでいて、いつも身近にある。
とりあえず今日も生きようと思う。
明日は明日生きていたら生きよう。