「春の足音」
とあるオシャレな雑誌のページをめくる。すると、余白たっぷりの真っ白な見開きのページに「春になったらしたいこと」と小さな明朝体で書かれた黒い漢字が目に入る。
そのタイトルの下には、いくつかの春になったらしたいことが、さらに少しだけ小さくなった言葉となって縦に並んでいる。
その言葉たちの横には淡い小さな風景写真。
たいしたことでもないのに、なんだかとてもオシャレなことのように思えてくる。
「ハイキングで景色を楽しむ」
よく考えてみれば、先週末にこれをしてきたのだった。
なんだか無性に山の斜面に生えている木々を見たくなった。土を踏みしめて足の裏に山の角度を感じてみたくなったのだった。
その山は普段はひっそりとしているのだけど、天気も良かったこともあって賑わっていた。珍しく(というか初めて見たのだけど)警備員が駐車場の前に立ち、軽やかに指示を出し車の整理をしていた。
山の頂上について、しばらくベンチで横になっていた。目を閉じると展望台からの会話が音楽のように聴こえてくる。風が耳の間を通っていくのがわかる。
数分たった頃、いくつかの足音が近づいてきたので身体を起こした。遠くに見える景色は、まるで何も動いていないかのように見えた。
近づいてきた足音は不自然なところで消えた。それは立ち止まったのではないということがわかる消えかただった。
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