市川準監督「BU・SU」を鑑賞する。富田靖子が良い。
主人公の麦子が、転校して初めて新しいクラスの教室に入っていくシーン。黒板の前に立つ麦子。好奇心いっぱいで麦子を見つめる見知らぬ「オスガキ&メスガキ」。その異様な視線を、市川準監督は「ピント送り」という技法で表現する。めまいを感じるほどの「不安感」「恐怖感」が、観客側にもつたわる。技巧派の市川監督らしい名シーンだ。
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これは
富田靖子の記録映画ともいえるぐらい
色々な表情の彼女が見られる映画。
特に「アイコ16歳」のような
ただただ明るい女子高生じゃない
暗くうつむいた
パッとしない転校生の麦子(富田靖子)が
だんだん
自分の何かを信じて
自分の居場所を求めて
周りの大人や友人に支えられて
上を向いていくところが
ゆっくりと描かれている。
原由子さんの挿入歌
「tonight's the night」と一緒に
麦子が色んな東京の街を歩くシーンがとてもいい。
本当カワイイです。
転校してきた麦子の隣の席の
クラスメイトの男子。
ああいう子、昔クラスにいたなぁ。
懐かしい。
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髙嶋政宏がね、イヤな奴なんですよ。自分が「クラスのヒーロー」だと勘違いしてる「典型的な体育会系のバカ」。こういう、自分がイヤ奴だと気づいていないアホは死んでほしいね。
クラスでイジメがあり、それを止める麦子。いじめっこの女の子たちが「アンタ、なによう!」と麦子にからむ。そこへ「まあまあ、落ち着いて」とか何とか言って、しゃしゃり出てくる無自覚アホの髙嶋政宏。筋肉バカ。体育会系バカ。その髙嶋政宏に「てめえに何がわかんだよう!」と飛びつく、いつもは教室でくすぶっている地味な根暗っぽい男子生徒。この根暗の男子生徒の気持ちが、痛いほどよくわかる!「体育会系の筋肉バカに、いじめる人間といじめられる人間のことがわかるものか!」こういう市川準監督の「帰宅部感覚」が素晴らしい。泣けてくる。
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とにかく、青春映画の傑作です。おすすめです。とくに「帰宅部系」の人におススメで