ロックンロールの寓話「ストリート・オブ・ファイヤー」を観る。
1980年代に青春を過ごした映画ファンの中には、ウォルター・ヒル監督のロックアクション映画「ストリート・オブ・ファイヤー」(1984)に感化された人は多いのではないだろうか。
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ストーリーは非常に単純かつ「ベタ」。街の「ロッククイーン」(ダイアン・レイン)が不良たちに誘拐され、不良のボスは「ムフフ。いいナオンだぜ」。
むかし、ロッククイーンが駆け出しだった頃につきあっていた兵隊あがりの青年トムの姉が、急いで弟へ連絡する。「アンタの大事な人が悪党どもに誘拐されたよ!」
この兵隊あがりの青年を演じるマイケル・パレがひたすらカッコイイ。
さらにカッコイイのが、マイケル・パレの相棒になる女兵士のマッコイ。企画当初はメキシコ人男性が演じる役だったが、女優のエイミー・マディガンが強烈に売り込み、監督が「わかったぜ、お嬢ちゃん」と女兵士へと変更した。このマッコイが実に役に立つ相棒なのである。
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トムとエレンはかつて恋仲だったが、エレンが歌手を目指すために心ならずも別れていた。今回の救出をきっかけに再び心が揺れるが、トムが金のために自分を救出したとエレンが誤解し仲違いする。しかし、トムがビリーから謝礼を受けとらなかったと知り、二人の間にふたたび愛の炎が燃え上がる。
その一方、面目を潰された不良集団ボンバーズのボス、レイヴェンはボンバーズを率いて街を襲撃しようとしていた。その前に立ちはだかるトム。レイヴェンはトムに一騎討ちを申し出、トムも受けて立つ。一対一の壮絶な対決の末、トムが勝利する。ボスの敗北、住民の決起の姿をみてボンバーズは引き上げ、街に平和が訪れる。
エレンはトムに復縁を申し出るが、トムは「俺は君の付き人になる男じゃねぇ」と言い、二人は再びそれぞれの道を歩むこととなる。ステージで歌う彼女の姿を見守りつつ、トムはマッコイと共に街を去って行く。
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ラスト。歌うエレンを背に駅へ向かうトムのところへ、さりげなくクルマでやってくるマッコイがいい。「いい男が帰ってきたぜ。おまえさん、ついてるな」「ふん!はじめから言ってるだろ好みじゃねえんだよ」なーんていう軽口を叩きながらクルマを発進させるマッコイ。去っていくふたりにかぶさるエレンのシャウトする歌声。そして、エンドクレジット・・・。
嗚呼、なんという傑作だ。
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「ロックンロールの寓話」と言うだけあって、サウンドトラックが素晴らしい。
オープニングを飾る「ノーホエア・ファスト」は軽快なロケンロール。
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そして、やっぱり白眉なのは、ラスト、ヒロインのエレンが悲しみと希望の渦巻きの中で歌い上げる「onight is What It Means to be Young」
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他の曲も名曲ばかりなのでぜひ、サントラCDを聴いて欲しい、ロックンロールファンなら。
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織田哲郎は、この映画の世界観を日本っぽくアレンジして相川七瀬の名曲を創ったのだと思うのだが、さて?
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あ、あと、ウィレム・デフォー演じる敵役も魅力的。デフォーって、顔自体が「凶器」だからねえ(褒めてるんですよ!)。