【邦画】🎦片岡千恵蔵版“金田一耕助”、70年ぶりに発見された『悪魔が来りて笛を吹く』復刻披露上映会。
約70年ぶりに所在がわからなくなっていたフィルムが発見され、このほどデジタル復元された、映画『悪魔が来りて笛を吹く』(1954年公開)の復刻披露上映会が26日、東京・丸の内TOEIで開催された。
1951年に発表された横溝正史の同名小説を、戦前から戦後にかけて活躍した時代劇スター・片岡千恵蔵が金田一耕助を演じ、東映が映画化。
片岡千恵蔵の金田一耕助シリーズは7作品製作されており、本作は4作目にあたる。
横溝の描く、くたびれたはかま姿の金田一とは異なり、片岡千恵蔵が華麗なスーツ姿でガンアクションも見せる趣の変わった作品だった。
本作原版は長らくロストフィルムとなっていたが、2023年に二松学舎大学文学部国文学科教授の山口直孝氏により16ミリフィルムが発見され、昨年、映画会社の東映に寄贈された。
見つかった16ミリフィルムは長い年月の間にビネガーシンドロームと呼ばれる劣化が進んでおり、ワカメのような歪み、また欠損、傷も多く、デジタル化が必要な状態にあった。
東映はグループ会社、東映ラボ・テックによる熟練の手作業と最新修復技術を駆使し、デジタルデータとして映像と音声を共に蘇らせる復刻プロジェクトを発足。修復費用の一部はクラウドファンディングを募ったところ、昨年6月3日から7月30日までの期間に542人のパートナーが集まり、目標を大きく上回る632万5707円が寄せられた。
クラウドファンディングのパートナーの方への返礼品として実施されたこの日の上映会には、本作のフィルムの寄贈者で、横溝正史研究の第一人者の山口直孝教授と東映太秦映画村を運営している東映京都スタジオの元社長で、立命館大学映像学部教授でもある山口記弘氏が登壇。
“ダブル山口教授”によるトークセッションでは、修復状態、巧妙なストーリー展開、トリックの妙や文学評価、当時の時代背景や撮影にまつわる話、片岡千恵蔵の人柄や演技の幅広さ、横溝小説が映画化された経緯や撮影環境等が語られ、上映会を盛り上げた。
この上映会に際して、原作者・横溝正史の次女・野本瑠美氏と、片岡千恵蔵を父に持つ東映の植木義晴取締役のコメントも公開された。
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