身体療法と心理療法
身心療法としての指圧
身体療法と心理療法
改めて…になりますが、7月7日に第3回の指圧私塾を名古屋で開きます。
第1回、第2回は奈良で名古屋のうめむら指圧院長の梅村先生にお越し頂いて開催したのですが、今回はじめて、わたしが名古屋にまいります。
前回はわたしは実技だけでの担当でしたが、今回は講義もしてみようということで、わたしがなにを参加者のみなさまにお話しようとしているかを、自分の中で整理しながら、アウトプットしてみようと思います。
今回のわたしの講義のテーマは、『身心療法としての指圧』です。
『身心療法』ということばは、別にわたしの造語ではなく、身体療法と心理療法の両方にまたがるもの・・、身心一如ということが、東洋医学では共通の基盤ですから、こころとからだ、両方にアプローチできる指圧・・というぐらいの意味なのですが、少し調べてみたところ、身心療法も身体療法もあまり用例がなく、一般的な用語ではないかもしれません。
それにたいして『心理療法』ということばは、とてもよく目にします。
厚生労働省の定義からすると、心理療法とカウンセリングは厳密には違うとされ、心理療法はより医学的モデルによる要素が強いとされています。
来談者中心療法、認知行動療法、精神分析的心理療法、遊戯療法、家族療法、など、それぞれの技法があり、統合折衷型アプローチも最近は増えてきている。
近年は、科学的立場に基づく「本当に効果のある方法」による介入が重視されてきており、実証的な証拠(エビデンス)に基づく支援の必要性が強調されているそうです。
これは安易に指圧師が『心理療法』ということばをつかうわけにはいきませんね。
もちろん、『心理療法』の専門家には、臨床心理士や公認心理師がいるわけですし、その先生方と同じことをしてるともできるとも、到底思えないわけです。
でも、わたしには指圧によってからだにアプローチしているのだけれども、それはこころにも触れているのだという実感がありありとあります。
でもそれは、科学的な立場に基づく「本当に効果のある方法」とは、永遠に認定されないのではないかと思いますし、エビデンスなんて、どんなにエッセンスを抽出したところで、出てこないことでしょう。
あらゆる施術がそうであろうと思いますが、施術者と被施術者との出会いにおいて、それはすべて再現不可能な一期一会です。
同じツボ、同じ経絡にアプローチができるAI搭載の指圧師がいたとして、そもそもその時の被施術者がもっている氣も違い、季節や気温や、気圧や五感から入る刺激、そのときのご機嫌、感情、体調も違うなかで、同じことをしても、まったく違うアプローチになるという性質上エビデンスなんてとらえようがないと、わたしは考えています。
では、わたしが今感じている、患者さんとの間にある氣のやりとりや、想いのわかちあいかた、からだにある結ぼれが指圧によってほどけていくときに、患者さんのこころが劇的にかわっていく・・そんな経験をだれかと共有することは不可能なのか、伝えられないのか…というと、そんなことは決してないと思うのです。
患者さんのこりや滞りは、心的な葛藤やストレスと深く結びついています。
だからこそ、そこが解消されないと、一度ほぐれても、何度も何度もそれは繰り返し滞り、邪となって、ご自身を攻撃します。
どうしても、それはご自身の中で解消していくべき課題と認識されないと、きれいに消えてなくなることはないのです。
エサレン研究所
エサレン研究所をご存知でしょうか?
1960年代のアメリカ、カリフォルニアで二人の心理学科の学生によって、人間の潜在的可能性を探求・実践する滞在型宿泊施設として始められた施設です。
ヒューマンポテンシャルムーブメントを生み出すきっかけとなり、多くの哲学者、文学者、心理療法家、身体技法研究家、アーティストがあらゆる角度から、人間の可能性を探る試みが展開されました。
ゲシュタルト療法創始者 F.パールズ
人間性心理学、トランスパーソナル心理学創始者 A.マズロー
ロルフィング アイダロルフ
フェルデンクライス モーシェ.フェルデンクライス
といった、心理療法、ボディワークの創始者が続々と誕生した場です。
そして、エサレンマッサージというと、ロングストロークの素晴らしいオイルマッサージで今でも、世界中のマッサージジャンキーが憧れる聖地です。
またその成り立ちからも、東洋的な禅、瞑想、東洋哲学とのなじみが深く、洋の東西を問わない、人間そのものの善性を追求する場となっています。
そこでは、まさに伝統的に『こころとからだ』が同時にトリートメントされていたのだと思います。
その舞台にあれば、増永先生の指圧も、野口先生の整体もきっと熱狂的に受け入れられていただろうと、わたしはいつも楽しく想像します。
指圧や整体はからだからのアプローチです。
でも、それは否応なくこころに繋がっている。
あてた手掌が、指が、そのひとそのものにアプローチしている。
そのダイナミックな感じを、是非、オンラインではなく人と人の息遣いを感じる空間でお伝えしたい。
わたしは、『ならまち月燈』をどういう場にしたいかを考えるときに、いつもエサレン研究所のことを思い浮かべていました。
指圧は東洋医学に依拠していて、それは大いなる智恵として、本当に大きな大きな気づきを与えてくれるものだけれども、それよりもっと大きな位相のなかで、人間をみたい。
自分で書いていて、まだまだ意味不明なので、もうすこし、わかるようにお説明できるようになろうと思います。
指圧私塾は、午前の部はセラピストさん向け、午後の部は鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師向けとなっていますが、わたし自身は、指圧もボディワークのひとつと思っています。
なので対象としては、ロルファーやフェルデンクライス、マッサージセラピストの先生が、『SHIATSU』って、日本のボディワークとしてあるけど、どんなんだろう?っていうのもありだと思うし、
理学療法士、柔道整復師、整体師の先生方が、指圧って、自分たちの技術とどう違うんだろう?っていう観点で参加してくださるといいなと思っています。
また、リラクゼーションでもみほぐしをされているセラピストさん、自宅サロンでアロマテラピーをされている・・なんて方にも、ちょい足しの技術としての指圧を取り入れるために参加して下さるのも意味があると思っています。
大上段に構えて、壮大なことをしようとしているのではなく、基本は地道にこつこつと…なので、おびえないでお問い合わせくださいね。
ちなみに、主催の梅村先生は常識のあるまともな先生なので、安心です。
みなさまにお目にかかれるのを、心より楽しみにお待ちいたしております。
最後まで読んでくださって有難うございます。読んでくださる方がいらっしゃる方がいることが大変励みになります。また時々読みに来ていただけて、なにかのお役に立てることを見つけて頂けたら、これ以上の喜びはありません。