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散る桜残る桜も散る桜
映像作家保山耕一作品上映会
今日は久しぶりに奈良バスターミナルにおいて、月1回開催される保山さんの『映像詩と音楽で巡る奈良』に行ってきました。
いつも日曜日に開催されるので、わたしは滅多に行けず、状況が揃うまで参加できるかもわからず、いつも毎月のDVDをひたすらリピート再生するか、youtubeで延々とみているかなのですが、今回は、あまり外出できなくなってきている母に保山さんの桜をどうしても見せてあげたくて、なんとかお席をお取りいただきました。
保山さんは、テレビカメラマンだった方ですが、がんの闘病のため退職された後、身を削るようにして、奈良の映像を撮り続けていらっしゃる方です。
映像じたいも当然、プロの技術とアーティストとしての表現力があわさって、比類なきものですが、彼がfacebookでつぶやくことば達が、珠玉の物語で、激しく人のこころを揺さぶるものです。
世界遺産や、音舞台といった現場でお仕事をされてきた経験から、なにを切り取るか、選ぶかの選択が卓越していて、選曲もまた素晴らしいのです。
映像詩という形態がほかにもあるのか、私は存じ上げませんが、映像詩という表現は、保山さんだけに許されるのではないかと思うほど、抒情的で、こころにしっとりと寄り添う、表現形態です。
今回のテーマは桜でした。
桜、桜、桜・・・。
トークセッションでご本人が仰っていましたが、昔は青空に満開の桜のシーンを撮ることが桜を撮ることだと思っていたけど、今は大雨の中の桜、散りゆく桜、額だけになった桜に自分を見るような気がして心惹かれると。
保山さんと同世代のわたしは、その気持ちに激しく同感いたします。
そして今日は、散りゆく桜の映像にある人を思い出して、涙がとまらなくなりました。
高井美紀さん。
毎日放送のアナウンサーでした。
過去形なのは、去年、お亡くなりになったからです。
会社の発表によると、ご遺族のご意向で死因は非公表ということで、本当に突然いなくなってしまわれて、未だに信じられないような1年でした。
美紀さんは、大学のテニスサークルの2年先輩でした。
入部したとき、美しい女性ばかりのその華やかなサークルの中でも、特別にスポットがあたっているかのような、ひときわ美しいその容姿に、世の中にこんな美しい人がいるのだと、遠巻きに近寄れないような思いで見惚れていました。
でも日が経つにつれ、その美しい方が、また飛びっきり気さくで親切で、面白い方だと徐々にわかってきました。
ご自分が特別に美しいことは、おわかりのはずですが、そんなことはたいしたことがないし、気にもとめない・・というような態度でした。
就職活動を経て、美紀さんが毎日放送のアナウンサーになられたときに、やっぱりな・・というか、そうだよな・・・という感慨でした。
とても同じ地上に暮らしているとは思えないオーラの輝き、天上人、庶民とはかけ離れたような特別のものを纏った方ですから、そういう方ばかりの世界に戻られたような感じがしました。
本当に天女みたいな方だったのです。
そして、あっという間に看板アナウンサーになっていかれました。
並みいる有名人、芸能人のなかにいても、自然体の美紀さんは、学生時代の時と変わらず、親しみやすい優しい美紀さんのままでした。
少し時が経って、当時わたしが働いていた京都の料理旅館にサークルの先輩方とご飯食べにいらしてくださるようになりました。
一番忙しい方のはずなのに、お偉いさんをご紹介いただいたり、繋いでいただいたり、そういう人と人とのネットワークをつくることを、とても軽やかにして下さる方でした。
サークルの卒後の集まりもいつも率先して、企画して、お顔だししてくださって、にぎやかにお話くださる方でした。
グループLINEにも、色々なためになる情報をどんどん流して下さる方でした。
卒業した大学が舞台になるドラマやドキュメンタリーといった番組の情報を一番に流してくださる。
美紀さんというスターは、ますます光り輝き、外見も心映えも衰え知らずでした。
わたしが退職するときには、祇園で退職祝いをしていただきました。
本当にしていただくばかりで、なんにもご恩返しができない不甲斐ない後輩でしたが、本当にかわいがっていただきました。
いつかきっとご恩返しがしたいと思っていたのに、永遠にできなくなりました。
美紀さんの訃報を知ったのは、保山さんのfacebookでした。
保山さんは、美紀さんの色々な番組のテレビカメラマンをされていたそうです。その哀悼文で知りました。
その中で、『真珠の小箱』のときのお話がありました。
近鉄提供のその番組は、美紀さんがまだ新人のころ出演されていて、私も食い入るように見ていたので、よく覚えていました。
その映像を保山さんが撮っていらしたなんて。
美紀さんがいなくなってから、グループLINEは沈黙したままです。
同級生ともショックのあまり話すことじたいがタブーのようになってしまって、ちゃんと悲しめていなかった。
その積もり積もった悲しさや寂しさが、今日の保山さんの映像詩を見て決壊してしまいました。
美紀さん、本当に美しく気高く、親しみぶかい憧れの先輩。
潔く散る桜のように、鮮やかにあなたは天上に舞い上がってしまわれました。
私もまだ残っているけど、いずれ散ります。
美紀さんのように美しくはないけど、鈍くさくかっこ悪く私らしく散ることを、美紀さんはとてもほめてくれる気がします。
早くお会いしたいですけど、まだしばらくはこちらに残って、あなたの半分でも後輩にできることをしてから行きますね。
保山さんの映像は、いつもいろいろな魂を、祈りを呼び覚ましてくれます。
本当にありがとうございました。
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