【詩】 仕分ける

昼過ぎに電車に乗って
スーツを着ていない社会人と非社会人を勝手に仕分ける

鞄を右肩に食い込ませ
左半身を庇っているあの男性は前者

沢山の色を取り寄せて
複雑に編み込まれた服を着たあの女性は後者

前かがみで
ゆったり頁をめくっている初老は前者で
必死に液晶画面をなぞっている少年は後者

車内の振動に抗わずに壁に身体をぶつけ
自分を罰する術を探している彼は前者

彼の直ぐ側に腰掛けて
顰め面で彼を睨んでいる女性
目元を明るく染めた彼女は
これから誰に会うのだろうか
彼の苦悩は何も知らないまま
彼のことを誰にどう伝えるのだろうか
彼女は後者・・・

僕は席を立つ
前者だから答え合わせができないまま

窓に反射した男の眼を
まっすぐ見据えながら
彼はどちらかを考える
「社会人の自覚が足りない」という
あの時の声を聞きながら。



仕事への熱量どころか
生活への熱量が欠けている。

米を炊いたり、料理をしたり、
洗濯機を回したり、洗濯物を畳んだり、
ゴミを仕分けたり、ゴミを出したり、

そんなことがダルい

電車に乗って仕事に行くのが嫌だけど
読書の時間を保つためには仕方ない。
ラジオはしばらく聴いていない。

電車で同じ車両に乗っている人々の様子が気になる今日この頃。

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