【詩】 雨の街

夜が雨を呼んでいる
街は静寂とは程遠い。しかし閑散としている。

雨は街行く人々の視線を地に逃がし、
部屋にいる人々の視線を空に泳がす。

水溜りの上で滲み、歪み、融解する光に
僕は日々の面影を見る。

硝子の向こうで乱反射する街灯の光に
僕は涙の痕を重ねる。


天がもたらした無数の滴は
闇を吸って黒々としている。
アスファルトに生まれた無数の水面は
光を吸って絢爛としている。

雨音をかき消さないように
人々は息を潜める。
無骨な建築が水を弾く音の前では
心音すらも邪魔になる。


雨。
街。
光。
引力。
感傷。
希死念慮。
忘却と想起。
原始反射。

僕らは迷った。

この揺れる感情は何と呼ぶのだろう。




昨日,愛知は雨でした。僕は雨が好きです。ただし,観賞対象として。

部屋の中から空を見て,外に出ると足元ばかり見る。

という「雨あるある」を詩にしました。

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