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ぼくのポエム

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自分で書いた詩をまとめました。 過去作も含みます。 下書き的な側面もあります。 最後の方にその詩を書いた経緯なども載っています
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#仕事

【詩】 今、良い詩を書いている

今、良い詩を書いている
良い詩を書いているのに、嫌な通知が飛んできた。

思考を横取りされて
不完全のまま沈み込む

今はとっておきの詩よりも
謝罪の文面を考える必要がある

『も』と打ったら
『申し訳ございません』が最初に出てくる
『蒙昧』は出てこない

僕の言葉はどちらだろう
僕の心はどちらだろう

『申し訳ない』と思う気持ちは本当だが
定型文じみた謝罪は「口先だけのでまかせ」らしい
ならばい

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【詩】 仕分ける

昼過ぎに電車に乗って
スーツを着ていない社会人と非社会人を勝手に仕分ける

鞄を右肩に食い込ませ
左半身を庇っているあの男性は前者

沢山の色を取り寄せて
複雑に編み込まれた服を着たあの女性は後者

前かがみで
ゆったり頁をめくっている初老は前者で
必死に液晶画面をなぞっている少年は後者

車内の振動に抗わずに壁に身体をぶつけ
自分を罰する術を探している彼は前者

彼の直ぐ側に腰掛けて
顰め面で彼

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【詩】 Keepメモ

死に急ぐように
喫煙所へ向かう

僕の仕事デスク
同僚との会話
2万円ほど入った財布
自宅の鍵
読みかけの文庫本
買ったばかりの天然水600ml
スマホの充電器
終わらない仕事

それらは10階にあるけれど
喫煙所は9階が上等
タバコとライターだけ
僕に従う

1日には
人知れず落ち込む瞬間が必要で
そのためには
決まった場所が1つあればいい
僕の足元は気まぐれに
まだ開けたことのないドアを探して

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