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活字に溺れる
あ
この字体の横棒は、なぜこの長さなのだろう?
愛
この漢字の点は、なぜこの角度なのだろう?
最近そんなことばかり考えている。
本でも、広告でも、書類でも、そしてこのnoteでも
普通に目にして、使っている文字。
日常生活に当たり前に溢れていて、
文章の内容のことは考えても、字体のことまでは考えたことがなかった。
ところが、先日読んだ
京極夏彦 『書楼弔堂 霜夜』
に、
活字の種字を作らんと、印刷会社で日夜、文字を書きまくっている青年
が登場し、それ以来、私は活字に夢中だ。
例えば、
このnoteで使われている漢字、ひらがな、英文字を
一つ一つ、読みやすいようにデザインした人がいる。
線の太さ、細さ、長さ、点の大きさ、向き まで
計算し尽して完成させた人がいる。
よく考えたら
そりゃそうだ
なのだが、
今まで、そんなことを考えたこともなかった私は
目から鱗がぽろぽろと剥がれ落ち、
俄然、
活字そして活字の元となる種字を作った人に興味が湧いてきた。
そんな折、noteの記事で
東京市ヶ谷に
市谷の杜 本と活字館
なる資料館があると知り、
勝手に運命を感じて、さっそく足を運んでみた。
レトロでお洒落な雰囲気の建物の中は、
こじんまりと落ち着いた、心地よい雰囲気。
作字の道具、活字鋳造機、印刷機、活字棚、
製本機、活字関連本
などが所々に展示されており、
印刷・製本の情報が盛りだくさん。
これで入場無料だなんて、や、優しすぎる。
![](https://assets.st-note.com/img/1738892667-4oEQpHlDa8XvxItiz19PfT5R.jpg?width=1200)
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![](https://assets.st-note.com/img/1738892704-583dELiucHlkUbxt2A6PrfBO.jpg?width=1200)
侃もここまで並ぶとなんか可愛い。
![](https://assets.st-note.com/img/1738892705-B5f1ls4kcF20dTo9rixLbzE8.jpg?width=1200)
横の定規と比べるとその小ささがよく分かる。老眼にはもはや見えない。
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昔は、活字を一つ一つ拾って
一冊の本を作っていたかと思うと、
その、気も遠くなるような作業量に
安易に
”活版印刷って味があっていいよね!”
と言っていられなくなりそうだ。
そりゃ、味あるよ、あれだけの活字を一つ一つ拾って文章にするのだもん。
書物というものが貴重だった理由を心の底から納得。
![](https://assets.st-note.com/img/1738897179-Vw4yM8S1CN56GDlInPgQBZJR.jpg?width=1200)
機械は日本製だそう。社員さんが実演して見せてくれました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738892705-qm4vkBxW7IbgEzFR8LyYZMld.jpg?width=1200)
そして、知りたかった作字。
![](https://assets.st-note.com/img/1738892738-QW2OUhNf84lTi9Eso3K1c0bn.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738892738-dkFbg8v2UtZH5ayEVu6sWfxN.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1738892739-XbPO7rUfJ9nL5BZ1vkty0iEl.jpg?width=1200)
この世には
書体設計士
書体デザイナー
という仕事があるということを初めて知った。
この方々のおかげで、今、スラスラと文字が読めているのに・・・。
今更で、ごめんなさい。
歴代、そして、現在も多くの設計士、デザイナーの方がいるそうですが、
朝日新聞書体の種字を作った
太佐源三(1897~?)は、
そこで太佐が心がけたのは、「読みやすい新聞文字」だった。漢字の画数の多い少ないによって極端に印刷面の黒みが変わることなく、明るくて読みやすい文字にしたい。その思いで、朝日新聞の原字デザインに打ちこんだ。
という。
確かに、
画数で文字の色味が濃かったり薄かったりしたら、
読みづらくてたまらない。・・・ほらね。
![](https://assets.st-note.com/img/1738892821-zSbFI8ovLRJEhKtNkCeTcaYV.jpg?width=1200)
新聞社には各社独自の字体があるそうで、「世界」という字もやっぱりちょっと違う。
しかも、文字を目立たせることなく、あくまで、文章が人の記憶に残るようにする、という、その絶妙なラインをデザインしていくというのだから、超絶な職人技だし、もはやアートの域だ。
形はもちろん、色の濃淡まで計算された文字を、
日常的に目にしていると知って、文字の見方が変わってしまうほど、
感動した。
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色々な文字が書いてあり、ゲシュタルト崩壊を起こしそう。
活字の奥深さを知って、
今、こうやって駄文を書いているこの字体も
どなたかが計算し尽して作ってくださったのだと思うと
それに見合う文章を書かなくては、と身の引き締まる思いでいる。
思いではいるけれど、実が伴っていないので
反省しきり。
それでも、
文字の一つ一つに感動し感謝しながら、
今日もnoteを綴っている。
![](https://assets.st-note.com/img/1738890891-yXifI43GWCcxd7b6SYpAwrFE.png)
【参考】
・市谷の杜 本と活字館
東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
電話:03-6386-0555
開館時間:10:00~18:00
休館:月曜・火曜(祝日の場合は開館)、年末年始
入場無料
・京極夏彦 『書楼弔堂』シリーズ 集英社
・雪 朱里
『時代をひらく書体をつくる。
書体設計士・橋本和夫に聞く
活字・写植・デジタルフォントデザインの舞台裏』
グラフィック社
noteの記事を引用させていただいております。
ご不快に思われた場合は削除いたしますので、
お手数ですがご連絡をいただければ幸いです。
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