地球の欠片を集めている
元からコレクター気質ではあるのだが、ここ数年、新たに集めていたものがある。それが鉱物。地下深くで、洞窟の奥底で、或いは火山の噴火によって生まれた、地球という星の小片である。
「集めていた」と過去形なのは、ある程度欲しいものは手に入ったからで、ここしばらくは、時々石を取り出して眺めたりしている。
私が集めていた鉱物は、「サムネイル」サイズや「ミニチュア」サイズと呼ばれる小さなものが殆どで、このサイズ感であればお手頃な石も多い。というわけで今回は、これまで集めてきた石たちの一部をご紹介したい。
■蛍石
まず最初は蛍石、なのだが、この石はバリエーションが本当に多い。今回は我が家にある中から三つを選んだが、他にも紫と緑がグラデーションになったもの、水の中にインクを落としたようなもの、階段状に結晶したもの、紫外線で強く光るものなど様々だ。
中でも私は、淡い緑や青の蛍石に惹かれがちだ。世の中には黄色やピンクの蛍石もあるのだが、私はどうも寒色の石に手を伸ばしがちである。
■エルバイト
トルマリン、と言った方が通じるだろうか。手持ちの石はかなり細くて小さいが、それでもピンクと緑の二色が見て取れる。全体が赤いとルベライト、水色だとパライバ・トルマリン、青が強いとインディゴライト……、というように、含まれる成分によって呼び名が変わる、面白い石だ。
■カイヤナイト
これも成分によって表情が大きく変わる石だ。下の写真を見て欲しい。これはどちらもカイヤナイト、同じ石である。
■タンザナイト
多色性のある石のひとつだ。見る角度や当てる光によって、色合いが変わってくる。
角度によってさまざまな色が現れるので、つい手に取って、くるくる回して眺めてしまう。
タンザナイトには加熱処理をしたものと非加熱のものがあり、これは非加熱なのだが、加熱したタンザナイトの深い青もまた魅力的である。
■アクアマリン
二つ写っているが、どちらもアクアマリンである。
他の鉱物にも言えることだが、石は産地によって表情が大きく異なる。そのため、産地ごとに石を集めるコレクターも多いとか。
■メキシコオパール
これは貰い物だったはずだ。小さな石の中で、炎が燃えたっているように見える。
■桜石
その名の通り、桜の形をしている。アイオライトという鉱物が劣化して、この形になったらしい。調べたところによると、日本でしか採取されないようだ。見付かったのが他の国だったら、別の花の名前が付いていたのだろうか。
■アポフィライト
この母岩からひょっこり芽を出した植物のようなフォルムがたまらん……。見とれつつ値札を見たら、なんとワンコイン!(500円)速攻で購入した。
■ロードナイト
購入時は、あまりの綺麗さに目を奪われた。こんな綺麗なピンクの石があっていいのか、いやあるんです。
青い石と同じくらい、真っ赤に近い石も好きだ。この石も特にお気に入りな中のひとつである。
■ロードクロサイト
サムネイル・ミニチュアサイズはあまり高くないと言ったがこれは別。透明で赤に近い発色のロードクロサイトはとてもいいお値段がする。というのも、質のいいロードクロサイトを産出していた鉱山が、既に閉山しているためらしい。
というわけで、懐の寂しい私は入手を諦めていたのだが、あるときふっと覗いたイベントで、ごく小さい、その代わりに(ロードクロサイトとしては)超お手頃価格のロードクロサイトに出会ったのだ。
写真を撮るために改めて観察したのだが、なんというかまあ、眼福である。こんな綺麗なものが我が家にある、というだけで、ちょっとわくわくしてくるのだ。
■スピネル
最後を飾るのは、私の一番お気に入りの結晶だ。
スピネル。まず名前が良い。日本名は「尖晶」だ。かっこいい。
そしてこの深い赤! 母岩の白がスピネルの色を際立たせている。こんな赤いきらめきが、我が家にあるからにはいつでも好きなときに眺められるわけだ。こんなハピネスがあっていいのだろうか。いいんです。
というわけで、今回は我が家の鉱物たちの紹介だった。前述の通り、欲しい石は大体入手しているのだが、しいて言えばあとは青いスピネルとアオイライトサンストーンが欲しい。それが手に入れば満足だ。あとは手元の石を眺めてにやにやするだけである。