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対話7/老人の有用性について考えたい

※本記事は対話形式で進んでいきます。
※イ=イト吉、与=与多朗の発話です。
※連想などあれば何でもコメント下さい!

イ:うぅ、ディスカスしたい…。

与:おお。しよう。

イ:これからの老人の有用性について考えたいんだよね。

与:というと?

イ:さっき、この本(草思社文庫『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか?』)を読み終えたんだけど。

与:お〜、僕が紹介したやつ(まだ読んでない)。どうだった?

イ:おもろかった。与多朗君が買ってきたのに、先にジャンプ読まして貰ったみたいで悪いね。

与:いいよ別に(笑)。それで?

イ:えっとね、この本の本論ではないんだけど、文字が生まれる前の社会では老人が非常に重要な存在だったって記述があるの。

与:ほう。

イ:村にいる長老的な人が蓄積してる知見は村の存亡に関わる情報だったから、昔は老人が重宝されてたっていう。

与:あぁ、なんかイメージは湧くな。『もののけ姫』の村の婆さんみたいな?

イ:そうそう。まあ、そんな物知りで記憶力もある長老って、結局賢い老人じゃなきゃあきまへんやん、とも思ったんだけど…兎に角、文字が生まれて情報社会になった現代では、若者も自分で何でも調べられちゃうから老人の重要性が小さくなったよね、ってことが書いてあった。

与:なるほどな。それで老人の有用性が危ぶまれてるんじゃないかって?

イ:そう。でもさ、わしらも老人にはなるじゃん。

与:もちろん。いずれね。

イ:それまでに老人の有用性を見つけておきたいのと、”役に立たない人は切り捨てる”みたいな社会にしたくないって想いもあって、それを話し合いたいなと。

与:なるほどな。

イ:というわけで…どう思う?老人について。

与:そうだなぁ。そもそも”有用性”っていうと言葉が結構きつい気もするけど。

イ:たしかに。ちょっとビジネス思考寄りの言い方かもしれないよね。

与:僕は、まず老人の存在自体に意味があると思うかなぁ。それこそ、拡大家族だったら子供から見て”親ではない誰か”がいることって重要だと思うし。老人って”将来自分はこうなるのか”って見通しを持たせる存在でもあるというか。どう思う?

イ:なるほど。役に立つか立たないか以前に、”おじいちゃん””おばあちゃん”という存在がそこにいること自体に意味があるってことかな?

与:そうそう。家族だったら祖父母世代は自分のルーツとして意味深い存在ではあると思うし、家に居てくれたら、親子の二者だけじゃない幅もできるというか。

イ:確かに。与多朗君は拡大家族における老人の意味深さを感じられるのね。…あえて一般化するなら、この世に老化しない人はいないわけで、老人は人生を先駆けてくれている先輩として”老人のサンプル”を提供してくれているともとれるのか。

与:言い方ちょっとキモいけどな。

イ:あ、いま連想したのが、羽田圭介さんの『スクラップ・アンド・ビルド』って本で。主人公の男の子が、無力な存在である爺ちゃんを見て自分の若さに自信が漲る、みたいな描写があったんだよね。

与:ほう。

イ:敢えて、役に立つ立たないの文脈に戻しちゃうんだけど、”役に立たない人”の有用性ってのもあるんじゃないかな。

与:というと?

イ:一番わかりやすい例は赤ん坊で、役に立たない人を皆で守ることで団結できるみたいな。もうちょっと嫌な響きの方でいうと、自分より役に立たない人がいることは安心感を生むみたいなこともあるのかなって。

与:あー。大谷翔平が凄いってなるのは、それ以外の人がいるからだ、みたいな?

イ:でた、大谷。それはなんというか、引き立て役みたいなイメージよね。

与:うん。あぁ、それでいうと、無力な人の存在は強者の為の世界にならないためのブレーキ役ってイメージはあるかも。

イ:面白い表現だね。どういうこと?

与:もしこの世に能力の高い人しかいなかったら、それで成長・発展し続ける世界って、ちょっと怖くない?

イ:たしかに。それってちょっと、不老不死の世界みたいな気もする。アクセルしかない暴走車にならないために、足を引っ張る人がいた方が良いってことか。

与:そんな感じ!アクセルとブレーキのどっちもがあるからバランスが取れるし、立ち止まって考える。迷う。工夫する余地が生まれる。抽象的だけど。

イ:いや、なんとなくわかるような気がする。

与:それと最近”老人は役に立たないから死んだ方が良い”って極論があるじゃん。あれって、誰だって老いていくっていう当たり前のことを想像できてない人の発言だと思うんだよね。

イ:それはめっちゃわかる。自分らが老人になった時、おのれは死ぬんか?と。

与:そう。自分がいつ社会的弱者の立場に置かれるかって、実はわからないことだと思うんだよね。だから究極、社会的弱者に優しい社会の方が良いに決まってるというか。

イ:同意だな。老人に優しい世界を作っていくことは、自分たちに優しい世界を作っていくことにもなるから、結局自分たちのためになることなのよね。

与:そう。全員、確実に社会的弱者になるからな。

イ:良いパワーフレーズ。それ、教科書に載せられない?

与:今の僕には無理やなぁ。


アゴラの鐘『カンカンカン!今日は終了のお時間で〜す』


本日の対話はいかがでしたか?
久々の投稿でした。

記事に対して湧いた考え、感想、全然関係ないことなど、いつでもコメントお待ちしております。

それでは、また。

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