少年は老爺と叢に腰をおろした
少年は老爺と叢に腰をおろした
絆創膏を貼ってあげよう
笹で切った指先に血が滲んでいる
流れが止まったみたい
小さな掌に皴皴の掌を重ねた
もうすぐ来るよ
薄の穂がコクンとゆれ
揺蕩う鏡となった川面を
笹船が滑り来て、陽の輝きに包まれる
あの船を漕がなければ
老爺がとび乗り艪を握る
お父さんの船だよ、僕も行く
帆を上げた笹船は光の中を進む
白く透明な時の流れ
暖かいいくつもの腕に抱かれる
船が揺れる
膝で眠る少年の肩を
老爺が吐息に合わせ撫でている
お父さんとお母さんに会えたかい
少年は頷き立ち
横たわる銀河を背に家路についた
【AO0MNB0】