力強い趾で獲物に鉤爪を突きたてた鷹
力強い趾で獲物に鉤爪を突きたてた鷹
再びエガケに乗り、藪が開けたところで放たれる
気流にのり帆翔し地を捜し
落椿した山椿の脇に兎の跳躍をみる
颯に波うつ草木に兎は隠れ
翔けのぼると、山並のむこうに海が見えた
輝く波は心を揺さぶり
陽は眩しくあたたかい
ああ、足革と足紐が重く、鈴が騒騒しい
今までも何度か感じていたことだ
鷹は翼を荒荒しく打ち
鉛色の雲に飛び込んだ
雲が切れ飛んできたてんとう虫が
背に乗り這って頭頂にとまる
天は地に地は天となり
青は鉛に鉛は青となり、鷹は両翼をたたみ
尾羽を閉じて急降下し急上昇した
拳をあげるものは蟻よりも小さくなった
鷹斑を凛然とかかげ、羽搏き天頂へ向かう
白い光に革と鈴がやけおちた
陽のかげから、一羽の鷹が現れ
旋回し並んだ鷹は二羽となった
峠のうえに鷹柱が聳えている
強い上昇気流の中を数百の鷹とともに舞う
輝く水平線の奥に、鷹は雪を冠する山を見つめた
鷹は風切羽をたて両翼尾羽を一杯にひろげ海を渡った
【AO0UNB0】