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「『医療的ケア』の必要な子どもたち 第二の人生を歩む元NHKアナウンサーの奮闘記」を読んで

NHKのアナウンサーだった、著者内多勝康さん

私が育った家ではNHKのニュースを見ることが比較的多く、ニュースを読むアナウンサーの皆さんに、私は幼い頃からとても親近感を抱いていた。
なかでも、首都圏の夕方のニュース番組を担当なさっていた内多勝康さんのファンだった。
近年私はテレビをほとんど見なくなっていて、でもそんな中、内多勝康さんはいま、NHKでどのような番組を担当されているかな、と軽い気持ちでお名前をインターネット検索したところ、「もみじの家」というところのハウスマネージャーに着任されているということを知った。

東京都世田谷区にある、もみじの家

もみじの家は東京都世田谷区にあり、医療的ケアを必要とされるお子さんたちが滞在できて、いつもそのお子さんたちのケアをされているご家族が休息をとることができる施設だ。
2018年には、当時の皇后さまももみじの家を訪れられたと聞いている。

「医療的ケア」の存在

この本は、医療的ケアとはどんなことか、医療的ケアが必要な子どもたちが増えているのはどうしてかという紹介から始まり、内多さんがNHKを退職されて新しい分野のお仕事を始められたのにはどういう理由があるのかということが、やさしい文章で書かれている。
実際に医療的ケアが必要なお子さんを持つご家族の声に多くのページが割かれていて、それを読んでいると涙が出てくる。

かつて、デンマークの障がいを持つ人たちとの短い交流から感じたこと

私は、10数年前に、四国の愛媛県で、あるボランティアに参加したことがある。
それはデンマークの、障がいを持つ人々が通う学校、フォルケホイスコーレの一つである、オーフス県のエグモントホイスコーレの人たちが日本に修学旅行にやってきて、愛媛に滞在したことがあり、そのお手伝いをするというボランティアだった。
ボランティアといってもその人たちが観光するのに同行し、たまに「あれはなにか」とか聞かれた時に片言の英語で答えたり、おしゃべりしたりするようなもので、実際に介助したりするのは、デンマークから共にやってきた強力なヘルパーの人たちだ。
デンマークのヘルパーがどういうふうに障がいを持つ人たちと接しているか、当事者の皆さんはどんなふうに過ごされているか、に短い時間ながら触れることができ、とても衝撃を受けた。
そして、デンマークに比べると日本の福祉行政は細くて薄いな、と感ぜざるを得なかった。

この本を読んで

今回、「『医療的ケア』の必要な子どもたち」を読んで、デンマークの人たちと接したときのことを思い出した。
そのとき自分がどう感じたか。
でも、今は日本にはもみじの家ができた。
そしてそこには私の大好きだった内多さんがいらして、日々奮闘なさっている。
このことは大きな希望だなと感じることができた。
この本はとても読みやすく、大切なことがたくさん書いてあるので、皆さんに読んでいただきたいし、各地の図書館でも読むことができるといいなと切に願う。


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