ブルックスブラザーズの経営破綻をどう捉えるか。
みなさんこんにちは、スタイリスト吉﨑です!
アパレル関係者の中では、今最も衝撃的な話題となっているニュースなのではないでしょうか。
僕自身も確か2ケ月前?頃から何かの記事を見て、破綻しそうな事は知っていましたが、やはりこれだけ世界的に歴史のあるブランドが経営破綻に追い込まれるという事に対してかなり驚きました。
今回は、そのニュースの内容のまとめと、僕の考えを書き記しました。
Brooks Brothersとは
ブルックス・ブラザーズは1818年に46歳だったヘンリー・サンズ・ブルックスが立ち上げたアメリカでもっとも歴史のあるブランドで、ビジネススーツやシャツ、ネクタイなどで知られています。
1890年代にボタンダウンのシャツを発売して人気となり、リンカーン、セオドア・ルーズベルト、ジョン・F・ケネディ、バラク・オバマら40人近い米大統領が愛用し、ウォール・ストリートのビジネスマンたちのステートメントピースとしても人気を博していたブランド。
ブルックスブラザーズがもっとも影響を与えた功績
・オーダースーツが一般的だった時代に既製服を浸透させた
・インドのマドラスチェックを流行らせた
・ハリスツイードをアメリカで広めた
・ボタンダウンシャツを定番化させた
今回のニュース
米国の衣料品大手ブルックス・ブラザーズは8日、米連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を裁判所に申請し、経営破綻した。
アメリカでは新型コロナの感染が広まった3月以降、〈J.Crew(J.クルー)〉や『Neiman Marcus(ニーマン・マーカス)』『J.C. Penney(J.C.ペニー)』など大手衣料品店や百貨店の経営破綻も相次いでいます。
なぜ経営破綻に追い込まれたのか
これまで、ブルックス・ブラザーズはいくつものトレンドを生み出し、テキスタイル業界を巻き込んでの革新をもたらしてきました。
19世紀に開発したボタンダウンのシャツは、アイビーリーグの学生からアンディ・ ウォーホルまで、多くの人々に愛用されています。開発当時は、硬く、取り外し可能なリネンのカラー(襟)を必要としないシャツは斬新とされていました。
1920年代にはサッカー地を流行らせ、クラッシュ・リネンやシャンタンシルク、コットンコードをアメリカに初めてもたらしています。
もちろんブルックス・ブラザーズの影響を受けたのは紳士服のみではなく婦人服も同じです。
1910年代の初めには、ブルックス・ブラザーズのポロ・コートなどを参考にする婦人服が登場しました。雑誌ライフによると、1940年代にはスミス大学、ヴァッサー大学、ウェルズリー大学といった女子大の学生たちが、同ブランドに対し、女性にあった服を作ってほしいと要望したようです。1949年には女性向けのポロシャツを初めて発売し、以来、販売を拡大しています。
でも、2000年以降の急速な服装のカジュアル化が進む中、近年は苦戦していたんです。
ビジネスでのカジュアル化やファストファッションの影響が大きく、主力のスーツなどが苦戦し、経営が悪化していた中、やはり新型コロナウイルス感染拡大による店舗の休業や通勤での減少による需要低迷が追い打ちととされています。
今後は新たな支援先を見つけて、経営再建を目指す。
との事で、いくつか買い手候補も出ているとの事なので、ブルックスブラザーズが世界から消える事は無いと捉えてもらって良いと思います。
この現実をどう見るか
今ブランドやアパレル企業が溢れ過ぎている中で、ぼくを含めた多くの人が「歴史ある確固たる地位を築き上げてきたブランドはずっと生き残る」と思っていたのではないでしょうか。
正直ぼくは、ブランドには生まれた理由やストーリー性が大前提とされ、それが人にとって役に立つ事が必須だと思っていて、それらが乏しいブランドは生き残れないだろうし、必要もないと思っていたくらいなのですが、それらのすべてをクリアしているブルックスブラザーズが経営破綻に追い込まれるとは考えたこともありませんでした。
じゃあ、なぜそんなブランドがなくなったのかを考えた時に、僕の中でも答えは一つしか出ませんでした。
時代の変化に適応できなかった。
ここに尽きると思います。
とは言っても、ブルックスブラザーズも時代性に合わせて商品ラインナップを増やし、安価なカジュアルアイテムも豊富にそろえてはいたんですが、やはりスーツやジャケパンといったビジネスウェアのイメージや古典的なイメージを大きくは変えられなかったのではないでしょうか。
そして、「機能性」という現代もっとも需要の高いキーワードに対するイメージもかなり遠かったと言えます。
その伝統的なイメージや高級で、昔から五ブランドイメージが変わらない事に魅力を感じてやまなかったのですが、それだけでは時代についていけなかったんじゃないかなと思います。
今年35歳となる僕含め、30、40代以上の方からすると「ありえない」が当たり前に起こる時代になってきた訳です。
時代の変化のスピードもそうですが、今の若い世代は当時僕らが20歳だったときの20歳よりもはるかに考え方や視野は広く、精神年齢も10歳高いと思うんです。
幼いころから、さまざまな情報をネットから知る事ができ、そんな中で当たりませに育ってきた若い世代に僕ら世代のおっちゃんおばちゃんはクリエイティブな面ではかなう訳がない。
ブランドもそうですし、ビジネスだってそうですが、僕らが幼いころから頭にたたきつけられてきた常識というのは、もう常識でも何でもありません。
ブルックスブラザーズの経営破綻から僕は、「時代の変化」と「世代交代」そんな時代に局面してきているような気がしてなりませんでした。
良い物、素晴らしい文化、受け継がれてきた伝統は絶対なくならない。
と思っていましたが、これからは何が消えていき何が生まれるのかもう想像も付かないという訳です。
しかし、「豊かさの本質」という部分について守っていかなければならない「歴史」や「文化」は必ずあると思いますし、そういった文化活動は僕ら以上の世代で行っていかなければならないという変な責任感もあります。
今、「豊かさ」を「便利」「ラク」だとはき違えすぎている人も多いのも事実。その中にも、良い物と地球や人間に本質的には良くないものが存在すると考えています。
何でも、便利、楽しい、ラクだからといって人が人らしさを失い、美しい地球、自然と共存しなくなるのは僕は絶対にイヤです。
話がそれましたが、ファッション全体からも言える事ですが、ブランドの「信念」という軸やストーリー性は持ちつつも、時代の変化に柔軟に適応し若い世代にどんどんチャンスを与えて巻き込んでいかないと、凝り固まった発想だけでクリエイティブなモノづくりも経営もできないと思いました。
僕はスタイリストとして個人でビジネスをやっていますが、YouTubeをやっているのも、広告ツールとしてはもちろん、先の読めない時代に乗る為でもあります。
そして、今後は若い世代の考え方や価値観、発信方法なども参考にしていかなければと考えています。
もちろんコロナとの付き合い方も。
みなさんは、この衝撃的なニュースから何を学びますか?