ヤンキース、なぜ2連敗をすると厳しくなるのか。確率論からの答えーワールドシリーズ展望
ドジャースは、2連勝によってチャンピオンシップを手元に手繰り寄せた。最後に、2連敗から4勝をしてチャンピオンになったのは、1995年のヤンキースである。
なぜ2連勝すると優位なのか(確率論からの視点)
それから30年、2連勝をしたチームは11チームあるが、必ず優勝をしている。これをメンタル面やチームの勢いで説明する言説が多いが、確率論でいえば、結論は当たり前の話となる。
なぜ当たり前かを説明しよう。ここでは、ヤンキースにひいきをして、ヤンキースの勝率を50%としよう(なぜ、ひいきをしているかというとヤンキースは0勝なので、勝率は0%である。)
その代わり、ヤンキースは4連勝しなければならないと仮定する。そうすると、ヤンキースが4連勝する確率は、0.5×0.5×0.5×0.5=0.0625となる。ヤンキースが4連勝する確率は約6%である。
ここで注意が必要なのは、勝率を50%としたとき、人間は錯誤を犯しがちで、第3戦と第4戦のどちらかに勝つとしてしまうことである。第3戦も第4戦も勝率は50%である。これが最も重要なことである。
例えば、分かりやすい例としてバスケットボールのフリースローを考えてみよう。ある選手のフリースロー成功率を50%としよう。2投の機会が与えられたとき、1投目を外したとする。成功率50%なので2投目が入ると考えてしまうことは良くあるのではないだろうか。成功率は1投目も50%で、2投目も50%である。
以上に、述べたように2連勝をしたチームが、30年間優勝しているのは、チームの勢いとかではなく、確率論的に優位な立場に立つということである。7戦制のプレーオフを見るとき注意しなければならないことは、これである。
チームの勢い、メンタル的な要素を入れたければ
例えば、チームの勢いや選手のメンタルを考える場合には、勝率を増減すればいい。例えば、ドジャースに勢いがあると考えるならば、勝率を70%すればいい。このとき、ヤンキースの勝率は30%となるので、4連勝する確率は約0.8%となる。
山本の好投
さて、第2戦目は山本の好投が光った。データ的に印象的だったのは、カーブの割合を増やしたことにある。レギュラーシーズンのヤンキース戦とは異なる投球配分をしていた。このカーブで16アウトの内、4アウトを取っていた。
また、3打席目にジャッジを三振に取った球は、前回の対戦で長打を打たれた、インサイドのスプリットだった。今回は、インサイドに食い込ませ、空振りを取っていた。打たれた球をもう一度投げられるということは、調子がいい証拠である。次回の登板機会があれば楽しみである。
第三戦は、ヤンキースの先発投手が楽しみだ。データでは、4シームを全く投げない投手であるようだ。その割に奪三振率は高い。どのような投球をするのであろうか。