アポラクトフェリンの副作用
不定期連載 アポラクトフェリン(24)
アポラクトフェリンは、もともと
人間の体内に存在する天然由来の物質です。
健康を保つために効果的な
アポラクトフェリンの摂取量は、
成人の場合、1日あたり100〜300mgです。
鉄を取り込む性質があることから、
貧血気味の人が摂取すると危険ではないか
という声があります。
300mgのアポラクトフェリンが
結合できる鉄の量は、
体の中にある鉄の100,000の1以下です。
その程度の鉄が失われても、
貧血症など、人の健康に影響しません。
ただし、細菌やウイルスにとっては
大変な出来事です。なぜなら、
細菌は一つ一つが目の前にある
鉄の分子1個だけで生きているからです。
目の前にある鉄がなくなったら、
その細菌は生きていけません。
細菌類は非常に小さく、大きさは
平均1μm (マイクロメートル)程度です。
人の一般的な細胞の大きさは100μm
なので、人体に対する影響と比べると、
ダメージが全く違います。
ある研究グループが過剰摂取した場合の
安全性についての動物実験をしたところ、
体重60kgの人がほぼ1ヶ月にわたり
アポラクトフェリンを毎日10gずつ
摂取する場合と同じ条件で行ったのですが、
なんの問題も生じませんでした。
通常のラクトフェリンと比べて
アポラクトフェリンの殺菌効果が格段に
強いとすれば、ヒトの細胞も傷つけるのでは
ないかという声もありますが、
通常のラクトフェリンと同様、
アポラクトフェリンがヒトの細胞
(真核細胞)を攻撃することはありません。
大腸菌など、人体に悪影響を与える菌を
「グラム陰性菌」と言いますが、
これらの菌類の表面には
リポポリサッカライド(リポ多糖)と呼ばれる
糖類が存在します。アポラクトフェリンは、
このリポ多糖を目標にしてグラム陰性菌を
攻撃します。このため、リポ多糖を持たない
ヒトの細胞を攻撃することはないのです。
気をつけていただきたいことがあります。
アポラクトフェリンは、牛乳アレルギーの
ある方にはオススメできません。
製造過程で、どうしても牛乳のタンパク質が
わずかながら残ってしまう
恐れがあるためです。
アポラクトフェリンはタンパク質なので、
腎臓の病気でたんぱく捨の摂取制限を
受けている方は、摂取前に医師に
相談することをお勧めいたします。
参考文献
井上浩義
『アポラクトフェリンのすべてがわかる本』
アーク出版 2015年 pp.58 - 60
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