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小津安二郎「風の中の牝雞」(1948)

2023年10月27週
今年中に終わらせたい40年代の映画制覇シリーズの一環として時系列で観ている小津作品群、一作一作観ていくごとに日常の機微を捉える作風に愛おしさが増していくのですが、本作品は珍しく暴力的なシーンがクライマックスになっており、意外な作り。夫の出征中に戦中の貧困からダークサイドに堕ちていく妻を田中絹代が演じてる舞台設定は興味深いものの、現代感覚で観ているとステレオタイプな男女のジェンダーロールが受け入れ難かったり、暴力を振るう夫の対応が不自然だったりと、あまり好きになれないエンディング。小津監督自身も失敗作と認めている一方、アーティスティックに捉えられた戦後の風景や90分程度という尺はバランスが良く、飽きさせない構成になっています。
Wikipediaを見ると評論家の評価は諸説あるようで面白いのですが、黒沢清監督の解釈は独特。
”映画監督の黒沢清は、子どもが全快する作劇や夫が妻を突き飛ばした後の夫の対応に不自然さを認め、子どもは実は亡くなっているのではないか、夫もそもそも戦死していて、劇中に登場する夫は亡霊なのではないかと分析したうえで、階段から妻が転がり落ちることで家族全員が死ぬという「気味の悪い映画」であると結論づけている”
48年キネ旬年間7位。自分の評価は★★★


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