母は、強し。子も、また、強し。 『ルーム』(2016)
70点/100
ずっと、ウォッチリストに入ったままだった。
ちまたで、おススメと言われる映画に間違いは、ないと再確認。
70点は、決して、低くない。
シェフが75点。
ザフラッシュが73点だ。
あらすじ
ジャックとママは、二人で、天窓が一つしかない6畳ぐらいのルームで、生活をしている。
外に出ることは、出来ない。
二人で、テレビを観たり、ご飯を作ったり、ストレッチをしたりして、過ごしている。
ジャックは、5歳の誕生日を迎える。
ジャックは、ママとTVで、観たケーキを作る。
ろうそくがない事に怒るジャック。
ぐずるジャックをなだめるママ。
二人で、ケーキを食べる。
今日は、オールドニックがやって来るので、ジャックは、ママと寝ずに、クローゼットで、一人で、眠ることに。
クローゼットで、眠ろうとしているジャック。
ルームにオールドニックがやって来る。
前半、後半
女の子が監禁される映画。
クローバーフィールドの2作目、アンブレイカブルシリーズのスプリットを思い出す。
今作は、親と子が監禁され続けている。
親のジョイは、7年間。
オールドニックに腹まされ、誕生した5歳の子供 ジャック。
ジャックは、外の世界を知らず、TVの世界とイメージの世界で、暮らしている。
その二人が助け合って、生活が描かれる前半パート。
今作が良かった点は、助けられた後をしっかり描いている。
助かっても、ジョイは、心的傷害に苦しめられ、解放されたのに、"世界"と直面したことで、より苦しさを感じさせる。
学生時代に陸上サークルに所属して、アンカーを任されていたジョイ。
写真に写る他の3人は、普通の10代後半~20代前半を過ごしている。
なぜ、自分だけ。
それによって、ジャックにあたってしまう。
インタビューをしに来た女性の無頓着で、非常な言葉。
"子供をなぜ、病院の前においてこなかったのか?"
"子供自身は、自分の出生を知っているのかどうか?"
ジョイは、思いつめてしまう。
二人での生活は、そんな事を考えず、子一人、親一人で、生き抜いてきた。
今作で、詳しく語られていないのだが、父親との確執も相まって、彼女は、自殺未遂を起こしてしまう。
ジャックの視点
今作は、ジャックの視点で、話が進んでいく。
ジャックは、愛らしく、素直で、聡明な子供。
ジャックの無邪気なストーリーテリングで、話は、進む。
彼が助かった後、おもちゃに触れなかったのは、なぜか考えてみた。
ルームにいたある時、一匹の野良ネズミがルームに入ってくる。
ジャックは、友達になろうと、ネズミに誕生日ケーキのくずをあげようとする。
すかさず、ネズミを殺すジョイ。
泣き出すジャックにジョイは、
"ネズミは、食べ物を食べてしまうし、害虫を持っているから、噛まれたら、病気になる"
と伝える。
"僕たちもネズミのようだ"
と思うジャック。
その後、"キャンディをあげよう"とオールドニックにクローゼット越しに言われる。
二人が眠った後、オールドニックに近寄るジャック。
それに気付いて、目を覚ますオールドニック。
すかさず、オールドニックに"触るな"と食って掛かるジョイ。
ジョイは、それによって、傷を負ってしまう。
ジャックは、オールドニックに貰ったラジコンカーを破壊し、捨ててしまう。
キャンディも、ラジコンカーも、釣り糸の餌のように魅力的だっが、ネズミのように大事なもの。ママが殺されてしまう。
と感じたのだろう。
だから、助けられた後、病院で出されたパンケーキに手をつけず、バァバが買ってきたプレゼントのおもちゃで、遊ぼうとしなかったのも、そういうトラウマからだろう。
感想
今作は、単に、親と子の話という訳ではなく、引きこもりの自分にも、共感できる部分があった。
ルームから解放されて、現実社会を目の当たりにし、傷つくジョイ。
ママ以外が怖いジャック。
そんな二人がラストで、ルームを見に行く。
冒頭で、"おはよう"とルームの世界に伝えるジャックが最後、ルームの世界に”さよなら”を伝える。
暗い話だろうと視聴する前は、敬遠していたが、引きこもりの自分が5歳の子供に勇気をもらった。
そんな映画だった。
ここまで、読んで頂き、ありがとうございます。
愛してるぜ!!