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【百年ニュース】1921(大正10)4月19日(火) 大正天皇の病状につき宮内省が3回目の発表「天皇陛下は依然御発語に障碍」。特に心身の緊張を強いられる場面で発語に困難あること,階段昇降に扶助が必要なことを関屋貞三郎宮内次官が率直に発表。6月上旬に田母沢御用邸に避暑予定。

大正天皇の病状につき宮内省が3回目の発表がありました。天皇陛下は依然御発語に障碍。特に心身の緊張を強いられる場面で発語に困難あること、また階段の昇降に扶助が必要なことを、宮内次官関屋貞三郎が率直に国民に公表しました。また同時に大正天皇は6月上旬より日光の田母沢御用邸に避暑、静養のため向かわれるとも発表されました。

前年1920年、大正9年、3月の東京大学医学部教授三浦謹之助の報告書によれば、大正天皇は生後1年以内に脳膜炎のような病気にかかった影響、および即位後の多忙な生活による神経過敏により、1918年、大正7年頃から内分泌臓器のいくつかに不調が見られ、心身の緊張を要する儀式の際に、体が傾くなど平衡を失うような症状がみられるため、静養が必要との診断書が出されました。

1934年、昭和9年に完成し、当時の昭和天皇らに捧呈された「大正天皇実録」は、長い間非公開でした。2000年代に入って以降、宮内省への情報公開請求で徐々に内容が明らかとなり、ついに2016年、平成28年、ゆまに書房より「大正天皇実録」の刊行が始まり、本年、2021年、令和3年の3月に、全6巻の刊行が完了しました。大正の年号換算では今年は大正110年となります。歴史の事実を知るには、やはり100年の時間が必要という一例でしょう。

私は100年ニュース「毎日が百周年」を続ける理由もここにあります。同時代の出来事は残念ながら資料が少ない。菅義偉首相やバイデン大統領の日々の正確な情報や、その意味するところは、同時代では知り得ません。長い時間が経過し、多くの資料が公開されてはじめて、その内容の価値判断が可能になります。

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吉塚康一 Koichi Yoshizuka
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