【百年ニュース】1920(大正9)11月10日(水) 陸軍特別大演習最終日。国東半島の手前の宇佐付近で南北両軍混戦のうちに終了。四日市小学校で上原勇作参謀長(演習総監)の講評。大正天皇名代の皇太子裕仁親王(19)も前線を視察,勅語を代読した。
午前7時,御乗馬にて御泊所を御出門,中津駅より列車にて,7時38分柳ヶ浦駅に御到着,再び御乗馬にて上田原御野立所に向かわれる。途中,中須賀付近において,混成第50旅団司令部にお立ち寄りになり,戦闘指揮の様子を御視察になる。8時40分,上田原御野立所に御到着,直ちに演習を御覧になる。9時45分,御乗馬にて御野立所をお発ちになり,四日市付近の戦線を巡視される。
南軍は昨日の演習再開後,駅館川西岸への陣地構築を目標に退却し,司令部は御幡高地,ついで宇佐へと移動する。これに対し北軍は敵を国東半島の隘路に圧迫すべく,麾下の第12・18両師団が追撃を行う。この日,払暁より両軍は砲戦を開始し攻勢の機を待ち,南軍第6師団は予備隊をも投入,午前9時頃より法鏡寺方面より主攻撃を荒木・四日市間に指向し,正面の北軍第18師団に対し攻勢に転ずる。一方北軍第12師団は9時頃より攻勢に転じ,その左翼方面は高砂付近において敵軍を撃破し,戦況有利に進展する。10時30分,演習の中止が命じられる。
演習終了後,御休所四日市小学校にお成りになる。御昼餐後,在郷の陸軍歩兵少尉幸光禄による「神武天皇の東征と豊の国との関係」と題する講演をお聞きになる。午後2時30分より皇帝の講評場に御臨場になる。南北両軍司令官の方略および作成経過の朗読,次に特別大演習統監上原勇作の講評の後,左の勅語を代読される。「朕統監日々の電奏により今期演習の経過を知りその成績概ね可なるを認めこれを懌(よろこ)ぶ。」
宮内庁『昭和天皇実録 第二』東京書籍,2015年,647-648頁
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