官僚たちの夏
城山三郎 新潮文庫
’ミスター通産省’と言われるエリート官僚の風越慎吾が1960年代を舞台に走り抜ける。
巨大な官僚組織の中で、型破りな慎吾は人事を武器にのし上がり、天下国家の為にと、信念をもちモーレツに突っ走る。それを補佐し慎吾の事を「おやじさん」と呼ぶ庭野、鮎川らが補佐しながら、政界・財界と渡り合う。
しかし、命をかけて進めた法案は廃案、鮎川は激務で返らぬ人に、のうのうとのし上がった片山と裏のある牧が生き残り、時代の移り変わりを表現している。
1960年代という激動の時代を舞台に権力闘争のなか、モーレツに働く主人公達。彼らは信念を持っておりうらやましく思う反面、どうしても「昔はよかった」という讃美歌の様にも読めてしまう。
現代は様相が大きく異ってしまった。相容れないし、若い世代には理解が出来ない物語かもしれない。逆に分かる必要は無いのかもしれない。
批判したくはないが、政治家・官僚も崇高な理念は感じられない。
寂しいが、時代と言うのはそういうものである。
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