漫画キングダムから学ぶ会社経営 #37:パワハラの障害
本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は37回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)
前回#36ではワークライフバランスの重要性をまとめました。ワークライフバランスは個人の考え方も大事ですが、やはり組織としてどうあるべきかと言う組織論とその組織長であるリーダーの役割が非常に重要になってきます。まだお読みでない方は、こちらのリンクよりご確認ください。
さて、今回は組織絡みで、避ける事ができない、「ハラスメント」特に、「パワハラ」についてまとめます。これは、部下を一人でも持つ全ての社会人に読んでもらいたい記事になります。
まず、パワハラですが、皆さんご存じの通り、パワーハラスメント、つまり、立場を利用した嫌がらせになります。一番よくあるパターンとしては、上司が部下に対して、その立場を利用した様々な嫌がらせを行う行為になります。ここで大事なのが、「様々な」嫌がらせという、一見曖昧な定義になります。さすがに、この時代、暴力をふるったりといった事はないかと思いますが(もしそんな事があったら、すぐに第三者機関に相談してください)、言葉の暴力や、飲み会などの強制的な参加、仕事と関係ない依頼、情報共有をしない、無視をする、みんなのいる場での罵詈雑言など、にわかには信じがたいパワハラも存在します。
もちろん、仕事の上下関係というものは存在すべきですし、会社から給与をもらっているので、会社にビジネスを通して、恩返し(仕事)をするのは、当然の事ですので、それらを満たさない場合は、上司より、適切なFeedbackを受けるべきではあります。適切なFeedbackのつもりがいつの間にか、ハラスメントになっているなんて事もあるので、パワハラの意識がなくても、上司は注意深くしなければなりません。
キングダム内でも、様々なパワハラを行うキャラが出てきます。例えば、初期の成蟜、趙悼襄王、など、王族の人間が中々酷く描かれています。当時の王族の絶対的な力からすると、もっと酷かったかもしれません。王族というのは、現代、特にビジネスにおいては、比較、検討する事が難しいので、今回は組織ぐるみで最も酷く、現代ビジネスにも応用されるであろう、「犬戎族」のパワハラ障害について考察します。
犬戎族とは、史実にも実際に記載されており、西戎のうちに含まれる部族の一つで、古くは周という国を滅ぼした一大民族になります。キングダム内では、その末裔が、趙の橑陽に居座り、鄴攻めの際、楊端和軍と対峙します。
犬戎族は長のロゾ王を中心に凄まじい武力で、戦いますが、チームプレーで戦うというよりは、完全にロゾ及び、ロゾの血族のコバ、ブネン、トアクの3兄弟による恐怖支配による、戦いを強いられます。具体的には、命令には絶対服従。反対はおろか、眉をひそめるだけで、家族もろとも処刑と言う風に、戦士以外の女性子供は全て牢に閉じ込められています。究極のパワハラと言ったところでしょうか。このパワハラによってもたらされる障害は以下のような悪循環になります。
まず、当たり前ですが、パワハラをされた人達は精神的に追い詰められます。その結果、各人が自身のパフォーマンスを発揮できない状態になります。そして、最終的に、ひとつの歯車が狂い、組織としても全く機能しなくなります。そうなるとより上司の当たりがさらに強くなり、よりひどい仕打ち、負のスパイラルへ陥ります。
最初は恐らく些細な事から始まるかもしれませんが、こういったものはスパイラルなので、一度悪い方向へ向かうとどんどんエスカレートし、最終的には完全な独裁政治になってしまいます。
犬戎族自体は、個の力が強く、また、あの戦いでは、兵士の数でも圧倒しており、楊端和軍は兵糧の憂いもあったので、どう考えても犬戎族が有利でしたが、組織として戦いぬいた楊端和軍に結局犬戎族は勝てませんでした。さらに、ロゾが討たれた後は、逆に安心したように降参し、楊端和の提案を受け入れたのも印象的でした。
パワハラの一番の障害は、最終的には、組織として機能しなくなる点にあると言えます。個々がいくら優れていても、戦もビジネスも組織で力を発揮できなければ勝てなくなります。一人のパワハラが、人としての尊厳を奪うだけでなく、組織をもダメにしてしまう事を理解しなければなりません。
世の中の多くのパワハラ上司は、自分が悪いなんて全く思っていません。これを指摘できる組織、さらには、そのパワハラ上司のさらに上司がしっかりとマネージしなければなりません。
パワハラはすぐに解決できる問題ではありませんが、少しでも気にかけて、客観的に振り返る事が何よりも大事になります。この記事を読まれた方は、自分の言動を一度客観的に振り返ってみて、パワハラを行っていないか、しっかりと向き合っていただく事を強く願います。
それでは、また次回。
注)写真はすべて漫画キングダムより引用