マインドデトックスの旅 5日目
雨の音がする。
遠くで電車が走る音も。
隣の部屋で寝返りを打つ友人の布団が擦れる音も。
朝の8時過ぎ。
冷え込んだ朝の空気に起こされた。
洗面所に行き、アイボンで目に潤いを。パソコンを手に持ち、再び温もりの残る布団の中へ。寝転びながら昨日途中まで書いていたnoteを書き上げる。
9時になり、友人が起きてきた。
「寒い〜、おはよ〜」
「寒いね〜、おはよ〜」
今日何をするのかをお互いに話しながら朝食を済ませ、何をきっかけに話がそうなったのかは忘れたが、いつの間にか僕の最近の興味ややりたいことの話に。
友人は、カメラマンの専門学校を卒業し、過去に編集者・カメラマンとして雑誌の制作にも関わっていた人で、国内外問わずの写真集を持っている。
「あなたが今後写真で仕事をしていくなら……」とおすすめの写真集たちを見せてもらい、「この人はこういう撮り方で、こっちの人はこういう撮り方をしてる。」という解説をしてもらった。
話はどんどん発展し、最近、僕が作っている作品を見てもらい、アイデアや考えを議論しあい、アイデアがさらにドライブする。
そんな中で友人に言われた言葉
「誰かと人の幸せやトキメキ、豊かさを創ることばかりするんじゃなくて、あなたもあなた自身のトキメキを拾わないと」
「あなたのトキメキを置き去りにしないで」
確かに。
最近は、仕事で関わっている人たちのことや友人たちのことばかり考えていて、自分にとっての幸せは何か。自分の心がときめく時はどんなことをしている時か。自分の心が豊かになときはどんな状態・環境なのか。そういった自分に矢印を向けたことを考えていなかった。
「自分を愛せないと、人のことも愛せないように、自分が豊かで幸せではないと、人のことを豊かにも幸せにもできないよ。」
友人の言葉が否応なく心のど真ん中に飛び込んできた。
朝から頭を使ったよねと、言い合いながらお昼ごはんで昨日買ったケーキを食べる。
午後からは冷えた体を温めようかと温泉に行こうかと考えていた。狛江市にある狛江湯。
準備をして、そろそろ出ようかなと思っていた14時頃。
電話が鳴る。
出ると、中学からの付き合いの友人からだった。
「東京来てんの?コーヒーブレイクでもいかが?」
突然のお誘い。意外な相手でびっくり。
この旅に来る前に会いたいなと思う人や行きたいなと思う場所は事前にリストアップしていた。
電話口の友人も、もちろんそのリストには入っていたのだが、正直、今の僕の状況 (状態)で会うのは怖かった。もっと言うと、まだ、何も成せてない (成果を出せてない)から引け目を感じてて会いたくなかったまでもある。(完全に思い込みだが)
でも、これも何かの導きなのだろう。
そんなことを考え、急遽予定を変更し、原宿で会うことに。
鹿児島で最近知り合った友人からおすすめされていたカフェに行ってみたくて、原宿を指定したが、僕と友人。お互いに原宿が似合わないというか、人として街の雰囲気にミスマッチしているのが駅降りてすぐに感じた。
でも、まぁ、なかなか来ないし、歩こうぜ。と友人が歩を進める。
お目当てのカフェはとあるビルの地下にあり、結構人気のお店らしく、満席で座れなかった。
仕方なく、適当に歩いて、適当なカフェでコーヒーブレイクをすることに。
友人と会うのは、2年ぶり。多分。
久々に会うが、久々の感じがしない。
「あぁ、そうだよな。俺らってこういう関係性の友人だったんだよなぁ」って心の中で思いながら、近況を教え合う。
彼女とはどうだ。
仕事はどうだ。
あの子は今何をしているんだ。
最近何を考えているんだ。
デザインって何だと思う。
なんて、いろいろな話がとめどなく続く。
お互い次の約束もあり、じゃぁそろそろと言い、席をたち、駅に向かう。
帰り際、友人に言われた。
「ソース (情報源、引き出し)をもっともったほうがいい。」
「閉じこもっていちゃ、成長は止まるし、堅物になっちまう。」
友人の知識量や知識欲を知っているからこそ、この言葉に重みを感じた。そして、今の自分に足りないことであることも感じた。
加えて
「普段どんな人たちに会ってるの?もっと緊張感を抱くような人と会った方がいいよ。」
友人は尊敬できる人たちに囲まれながら、その人たちと戦えるように、日々研鑽を積んでいる。そして、仕事柄でもあるが、いろんな場所にいろんな人に会いに行っている。
そんな友人に言われたからか、まっすぐその言葉を受け止めることができた。
あぁ、会ってよかった。心からそう思う。
そのことを友人にも伝え、原宿を後にした。
目黒駅に電車で向かい、そこからバスに。
今年の4月。就職しようと、研修を受けに行った設計事務所に挨拶に。
結果、就職は叶わなかったが、鹿児島での僕の活動を気にしてくれていて、僕の存在も覚えてくれていた。
さっき友人言われたばっかだが、僕はこの事務所の代表たちに会うのがとても緊張する。だって、憧れの人たちだから。
事前に、挨拶伺うことはメールで連絡しており、簡単な挨拶の後、その事務所で働く同い年のスタッフの人 (研修の時、めっちゃ仲良くなった)と飲みにいく約束をしていた。
迷惑にならないようにと、仕事終わり頃の時間を見計らい、事務所に伺った。
お土産を渡し、席に通されると、目の前にチューハイの缶が2本出てきた。
ん?今日、軽い挨拶って連絡してたよな…
ん?代表ビールを手に取り出したぞ。
察した。これは長くなるやつだ。
代表たちとたくさん話せるのは嬉しい。けれど、一方で、スタッフの子と飲むことも考えると2時間くらいで切り上げるだろう。そんなふうにたかを括っていた。
結果、倍の4時間。ひたすら、飲みながら語った。
めちゃくちゃ楽しかったし、心震えた。
トキメキとかだけじゃなくて、感動がすぎた。
代表たちからの僕に対するエールの言葉だったり、いましているプロジェクトに対してのコメントだったり、建築に対する考えや、設計者とはどういう存在なのか。そんなことをたくさん話をしてもらった。
代表たちからの「頑張ってほしい、負けないでほしい、やり切ってほしい。」という、期待というか応援が、本当に嬉しかったし、何より、尊敬してて憧れている代表たちだったからこそ、すごく嬉しかった。
帰りの電車で、代表たちから言ってもらった言葉を必死に思い出し、メモに残す。
帰り着いて、泊めてさせてもらっている友人にこの感動を伝える。
「今日、めちゃめちゃときめいた。心が感動してた。体震えた。生きててよかった。この半年、頑張ってよかった。おかげでまだ頑張れる。あぁ、生きててよかった。」
ぐちゃぐちゃの感動をそのまま、言葉で吐き出す。
友人は、それをみて
「よかった、よかった。旅の目的、達成だね」って言ってくれた。ほんとにそうだ。
苦しかったこの半年で溜まった心の鬱憤や疲労を、吐き出すためのこの旅。
ほんとに、この1週間の時間を作った自分にも感謝だし、それを許してくれた大学の教授や家族にも本当に感謝。泊めてくれている友人や会ってくれた友人、電話をしてくれた友人。本当みんなに感謝だ。
というのを、案の定、次の日の朝に書いております。
一夜明けて、冷静な状態になっても、この熱量で言葉を綴れたのだから、昨日という1日は本当に価値ある1日だったんだと思う。
さて、今日は、とある建築のトークイベントに参加してきます。楽しみだ。
では、また明日の朝。