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【#毎週ショートショートnote】ユニーク輪唱

全国高等学校野球選手権大会地方予選・決勝。

 

ゲームは終盤を迎えていた。

 

攻撃側がブラスバンドの演奏による応援が始まったところ、守備側もブラスバンドの演奏が始まった。

 

守備側の演奏は御法度で非難されるべきことかもしれないが、私は不思議と嫌な気持ちにはならなかった。

 

プレーしている球児だけでなく、スタンドにいる全ての人たちが力の限りを尽くす。

 

すると不思議なことが起こった。

 

攻撃側の演奏からコンマ数秒遅れて守備側の演奏が流れたのが、どちらも定番の「エル・クンバンチェロ」だった。

 

輪唱のように球場に鳴り響くそれは、敵味方関係なく球場内の想いをこの一瞬にぎゅっとつめこんだまさに「魔曲」と化していた。

 

 

球場内の熱気に背中を押された私は、苦痛に耐えていた身体をむりやり起こした。

 

 

入院してから1ヶ月が経とうとしていたある日の昼下がり。

テレビの歓声を聴きながら病室の窓から眺めた景色には、入道雲がもくもくと立ち込めていた。


(410文字)

 

今回のショートショートは以下のマガジンに収めています😌



この記事は、たらはかにさん企画【毎週ショートショートnote】参加記事です。
今回のお題は、裏お題【ユニーク輪唱】でした。


季節外れの内容でしたが、少しは気持ちがホクホクしましたか?😊

高校野球ファンで、スタンドの応援歌もとても好きです🎵聴いていて元気になります✨️

中でも「エル・クンバンチェロ」は、高校生の時に母校の応援に行った際、チャンスで何度も流れていた思い出深い曲です🎶


次回のお題にも挑戦します!
引き続きよろしくお願いします!



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