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【#毎週ショートショートnote】キンモクセイ盗賊団の池

とある高校の修学旅行先の宿で就寝前に話し込んでいる男子4人組の部屋があった。

「順番に初恋話しようぜ!」

順にカミングアウトしていくうちに、最後の男子が黙って話をしない。

「おい、どうした?初恋したことあるんだろ?」


仲間の一人が囃し立てるが、俯いたまま話そうとしない。


「まあ無理して話さなくてもいいよ」


別の仲間が気を遣う。
すると、黙り込んでいた男子が口を開いた。


「実は俺の母ちゃんの実家が近くにあるんだ。でね、その近くに池があるんだけど、俺の初恋の人だった従姉妹がその池に誤って落ちてしまって」


その男子から大粒の涙。
他の3人は意味を悟り無言となった。

すると仲間の一人が言った。


「従姉妹の形見持っているか?」


その男子は頷き、鞄から小さなキーホルダーを出してきた。


「明日、その池に投げ入れよう。あの世に行った初恋の人に返してやろうよ。それで長年できなかった弔いをしよう」


形見を投げ入れた池は、その日から4人だけの秘密の池となった。


(410文字)

今回のショートショートは以下のマガジンに収めています😌



この記事は、たらはかにさん企画【毎週ショートショートnote】参加記事です。
今回のお題は、裏お題【キンモクセイ盗賊団の池】でした。

キンモクセイには、花言葉で、「初恋を連想する」「甘い香りに酔いしれる」の他に「あの世や死者の行く世界」という意味もあるとのことで、「初恋」と「あの世」を連想して書いてみました。

普段はこういった湿った内容を書くことがないですが、たまにはいつものアホな雰囲気から一変したショートショートもありかなと思いました。

次回のお題にも挑戦します!
引き続きどうぞよろしくお願いします!




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