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Vol.509「弥助問題-反日アトキンソン歴史捏造-」

(2024.8.6)

今週のお知らせ
※「ゴーマニズム宣言」…歴史は、常に改竄される危険にさらされている。特に日本の歴史は欧米人の偏見によって、明白な偽史に書き換えられてしまうことすら起こる。その前例は「慰安婦問題」で、嫌というほど経験済みだ。いま再び、日本の歴史が改竄されようとしている!織田信長の部下に「黒人のサムライ」がいて、しかもそれが英雄的な活躍をした、偉大な侍だったという話が流布されているのだ!さらに、黒人奴隷の歴史は日本が発端であり、元凶なのだ、といったヨタ話まで拡げられている!日本人の知らない所で、反日欧米人によって進められている歴史捏造を許してはならない!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…「洋服」を着ることが一般的な今の時代、男性よりも女性のファッションのほうが遥かに華やかで、多種多様な色やデザインが楽しまれている。ところが、「洋服」の歴史をさかのぼると、面白いことに男女が逆転していた時期がある。女性よりも男性のほうが着飾ることに熱心だった時代があり、女性には「ズボンの着用」を法で禁止していた国まであるのだ。ファッションの都、フランス・パリである。フランスは、革命前後で服飾ががらりと変貌した。フランスにおける服飾の歴史から見えることとは?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…唯一無二の独創性・オリジナリティを確立できているのは何故?オリンピックが関心を持たれなくなり、見向きもされなくなる日ってくると思う?小学生くらいの子供がスマホを使いこなしているのを見ると妙に腹が立つのはひねくれ過ぎ?オリンピックのボクシングで、男みたいな女の選手が出ていたことで大騒ぎとなっているのをどう思う?若い人の楽曲、若い人が歌う歌から、インスピレーションを受けたりすることはある?…等々、よしりんの回答や如何に!?



1. ゴーマニズム宣言・第538回「反日アトキンソン歴史ねつ造」

 歴史は、常に改竄される危険にさらされている。
 特に日本の歴史は欧米人の偏見によって、明白な偽史に書き換えられてしまうことすら起こる。その前例は「慰安婦問題」で、嫌というほど経験済みだ。

 織田信長の部下に「黒人のサムライ」がいたなんて話、聞いたことがあるだろうか? しかもそれが英雄的な活躍をした、偉大な侍だったというのだ!
 信長に黒人が仕えていたという話は有名だし、わしもドラマなどで見たことがある。しかしそれは「召使い」みたいな存在だったはずで、「偉大な侍」だったなんて話は聞いたことがない。
 史実としては、戦国時代にはポルトガル人やスペイン人などが黒人の従者や奴隷を連れて日本を訪れるようになっていた。
 そして織田信長が、謁見に来たキリスト教宣教師が連れていた黒人を気に入り、これを譲り受けたという記述はキリシタン文書や『信長公記』などの史料に存在する。
 だがその記述の量はごくわずかで、実態はほとんど明らかにされていない。「弥助」という名もそのわずかな史料に出てはいるのだが、苗字が記されていない。侍だったら苗字も記しているはずで、信長が召し抱えた黒人が侍になったと断定できる史料は、全くないというのが実際のところだ。

 ところがいま、以下のような話が流布されている。
 織田信長の配下に、黒人の侍がいた。
その名は「弥助」といい、単に信長の部下だっただけではなく、「偉大な侍」であり「英雄的存在」だった。
 日本の戦国時代には、黒人奴隷を所有することが戦国大名のステータスになっており、中には侍に取り立てられる者もいて、日本では黒人の侍が家族と普通に暮らしていた?
 日本における黒人奴隷所有は「ブーム」の様相となり、そのため欧米は仕方なく奴隷輸出を行うようになった。
 一方で、イエズス会は奴隷制度に反対していた。
 黒人奴隷の歴史は日本が発端であり、元凶なのである!??? …あまりにもバカバカしいヨタ話で、日本人なら一笑に付すはずである。
 だが日本の歴史を一切知らず、「オダノブナガ」なんて名前は聞いたこともないというような欧米人は、こんな駄話を真に受けてしまうのである。

 この極めて荒唐無稽でありながら非常に有害な偽史の出所は、たったひとりの人物である。この問題にも、慰安婦問題の「吉田清治」に匹敵する奴がいるのだ。
 そいつの名は、トーマス・ロックリー。イギリス人で、日本大学法学部准教授である。
 ロックリーは「弥助」研究の専門家として国内外で著書の刊行などをして居り、それも日本国内よりも国外において活発に運動しているようだ。
 そのためか、日本ではほとんど知られていない「黒人サムライ・弥助」が海外では知名度を上げていて、Netflixではアニメシリーズ『Yasuke -ヤスケ-』が制作・配信され、ハリウッドで映画制作の動きもあるという。
 確かに「黒人サムライ」は創作意欲をかき立てられる題材ではあり、そのためこれまでも「弥助」を扱った小説や漫画などは度々作られていて、NHK大河ドラマ『秀吉』(1996)にも登場していた。
 ロックリーの場合も、あくまでも「フィクション」として発表していれば問題はなかったかもしれない。ところがロックリーは「日本大学准教授」という「学者」の肩書で(歴史学者ではないようだが)「史実」と銘打って、日本にとって有害でしかない嘘八百を書き立てたのである。

 しかし、さすがに日本人なら、たとえ自虐史観の左翼でもこんな話は相手にしないだろう。
 …と思ったら、なんとNHKが2021年に、『Black Samurai 信長に仕えたアフリカン侍・弥助』なる番組を制作・放送していたのだ!

 この番組は、以前は「NHKオンデマンド」でネット配信されていたが、誰かがヤバイと思ったのか、配信中止になっている。
 そのためこの番組が「黒人奴隷の歴史は日本が発端」というデマまで扱っていたかどうかは確認できないが、番組の紹介文にはロックリーの名が登場しており、この番組がロックリーのウソ話に依拠した、ろくでもないものだということは、容易に想像がつく。
 そうではないというのなら、今すぐこの番組の配信を再開してもらいたい。

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