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【テンペラ画制作過程10】背景の下画き

制作記録も第10回となりました。
支持体制作を始めて16か月。
(一か月に12時間程度作業を行っています)
やっと背景の下描きにかかれました。

とにかく、はじめてやる実験的な作業ばかりなので、上手くいかないこと多くて凹みます😭

背景のモチーフを金箔地に直描きする
はじめて金箔(金属)の上に直接描くので、師匠の井上先生にいろんな工夫を教えていただきました。

不透明色(白地)の上に色をおいていく
透明色でも不透明色でもいったん定着させられるように下書きをチタニウムホワイトで起こし、そのうえに大まかに色を置いていき、最後にハッチングを重ねて細密描写に仕上げていくという方法です。私は中間色を大まかに乗せてから濃淡のバランスを整えていきます。
今回は中間色の配色をしています。

ハッチングで諧調を作る
テンペラ絵の具は、ピグメントと言う顔料に卵の黄身を混ぜて作りながら描くのですが、油絵の具のような”伸延性”は皆無の絵の具なので「ベタ塗」をすると絵の具の長所が失われてしまうため時間と手間を惜しめません。混色をできるだけ避けて細かなハッチングで色調を整えるようにすると濁りのない色彩があらわれ、また、色面に美しい諧調があらわれます。
(カバー画像のボッティチェリの作品は一つのハッチングがそこそこ大きいのですが、作品が巨大なため、繊細な表情が表れています)
絵具の特徴を把握して描くと、色彩によって宝石のようなきらめきを作ることができます。

タイパ、コスパ無視の制作方法なのですが、単なる技法としてどんな題材でも描くことはできます。

※近世の作品では、横浜美術館所蔵の サルヴァトール・ダリ作”ガラの測地的肖像”に特徴がよく表れています。


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