バター, メイドインW杯
普段はスポーツ観戦をしない私だが、サッカーワールドカップの日本戦だけは何がなんでも観ると、わけもなく、なんとなく、でも確固たる意思を持ってそう決めている。
11/23、対ドイツ戦にうっかりすっかり大興奮してしまった私。座っていたベッドを殴りまくり、飛び跳ねまくり、掛け布団をひっくり返しながら号泣したことを翌日知人に話したら、たいそう驚かれた。確かに、普段人前ではしゃぐことがほとんど無い私なので、びっくりされても無理はないかもしれない。
「そんな大暴れしてたら、バターが作れそうだね」
知人のひとこと。
そうだ、バターを作ろう。
日本代表を応援しながら。
~W杯日本代表を応援しながらバターを作る~
ダイジェスト版(ツイート)はこちら↓
11/27、対コスタリカ戦当日の日中、スーパーで生クリームを買ってきた。
生クリームは脂肪分が高いほどバターとして固まりやすいらしい。
スーパーで2番目に脂肪分が高かった42%の生クリームを選択。
さて、どの容器でバターを作るか。
今回はフランスから外国人選手としてオランジーナにお越しいただいた。
(オランジーナ選手ってブラジルにいそう)
形状がメガホンに似ていたのと、キャップの色が験担ぎのブルーだったことが主な起用理由だ。
作り方はいたって簡単。
生クリームを容器に入れて振るだけ。
なんと、振り続ければ10分もしないでバターが完成するらしい。
まぁ、なんて簡単なんでしょう!
これなら私でもすぐにできそうだわ!
…
…
…
いやそれでは困るのだ。
今回は前半45分+ハーフタイム15分+後半45分(+アディショナルタイム)の試合時間をきっちり使ってバターを作らないといけないのだ。
前半10分でできあがってしまったら興醒めだ。オフサイドだ。
あとの1時間半はひたすらバターを振るだけのわけわからんサポーターになってしまう。
できれば、試合終了とともにバターが完成するのが望ましい。
スポーツ同様、絶妙なペース配分が必要ということだ。
また、生クリームは温まってしまうと固まりづらくなってしまうらしい。衛生面でも少々心配ではある。
スポーツ同様、熱くなりすぎず、適度に冷静でいる必要がありそうだ。
さて、どうしたものか…
試合中どれだけ振ればいいのか、どれだけ大興奮する試合になるのか、これはもう見当もつかないので、まずはルールを設けることにした。
*ルール*
①無理に振ろうとしない。あくまでも感情に任せて振るべし。
②できるだけボトル部分は持たず、キャップ部分を持つこと。
③ハーフタイムには氷水につけて冷やす。
それから、うちは壁の薄い単身用アパートなので、メガホンであまりに大騒ぎしたらアウェイ(お隣さん)から顰蹙を買ってしまう。
そこで、
フェルトをボトルに巻きつけることによって、叩いても振っても音が出にくく、なおかつ握ってもできるだけ手の熱が伝わらないようになる!のだ!たぶん!
サムライブルーのフェルトの長さが足りなかったので日の丸も作ってみた。
オリジナルメガホン。我ながらなかなか可愛くできたと思う。
その後、日も落ちまもなくキックオフ。
選手入場と同時に、こちらも入場。
急にどすっぴん女性が現れてすみません。私です。
私もサムライブルーを着て(ユニフォームではなくaikoのライブTシャツですが)、準備万端です!
日本ゴールが決まったら、大暴れするぞ!
さぁ、キックオフ!
前半戦
日本のボール所持率が高いものの、なかなか得点にならず。
日本もコスタリカも、様子を見ながら確実に冷静にボールを運んでいるような雰囲気でした。
私も、試合に合わせて生クリームを振ったり
バターのことも忘れて黙々とゲームを見ていたり。
でも、振るたびにボトルの中の生クリームがパシャパシャと音を立てて手に響く感触は意外と悪くなく小気味良かった。
しかし一方で試合はなかなかゴールが決まらないまま、あっという間にハーフタイムへ。
そんなヤキモキする雰囲気でしたが、途中経過確認ということでペットボトルを開けてみると…
水っぽかった生クリームが、いつの間にかもったりしたペースト状になってる!
このあとさらに固まって、脂肪分と水分が分離したら成功だ。
そこまで必死に振った記憶はないのだが、戦況とは裏腹に、意外といいペースなのかも?と安堵する。後半もこの調子でいこう。
後半戦
何度かチャンスがあるも、コスタリカの守りが強固でなかなかゴールネットを揺らせない。
一方こちらも、ホイップ状になった生クリームは重く、試合同様なかなか動く気配がない。
あまりに動かない試合に私も居ても立っても居られない。
日本代表と、そんな自分自身を鼓舞するかのようにメガホンを振りまくる。
そしてゲームよりも先に、後半20分、こちらに変化が訪れた。
「ばしゃばしゃ」
ついに脂肪分と水分が分離し始めたのだ。
突然軽くなる感覚に、途端に振るのが楽しくなってくる。
ばしゃばしゃと音を立てるメガホンは、メガホンというよりほぼマラカスに近かった。
ところで、関係ない話だが、観戦中の自分を撮った動画を見返していて面白かったのが、身体が敵陣に向かって徐々に無意識に傾いていくのだ。
日本のゴールが早く観たくて、知らず知らずのうちに磁力のように敵陣方向に身体が引っ張られていった。マリオカートで曲がる方向に身体が傾くのと多分同じだ。
日本もコスタリカもお互いにゴールチャンスはあるのだが、未だに得点には至っていない。
どうなってしまうんだとハラハラする。
手に汗、いや、バターを握る戦いだ。
そうこうしているとその10分後になんとコスタリカに先制点を奪われてしまう。
がっくりうなだれる私。
残り時間もさほど残っていない。
私も必死になってバターを振り回す。
しかしそのまま日本は得点することができず、残念ながら試合終了のホイッスル。
あまりのショックに現実を受け入れられず、1分ほどテレビ画面を直視できなかった。
試合後
ひとしきり落ち込んだ後、それでも最後まで戦い抜いてくれた日本代表に敬意を表し、ダメ押しのメガホン振り。
さて、バターはどうなっているのだろうか。
試合は終わったが、もう少しこちらの延長戦にもお付き合いいただきたい。
とりあえずキャップだけ開けてみる。
なんだかよさげな出来栄えに期待感が高まり、少し元気になる。
この水分は乳清やホエーと呼ばれている。
ヨーグルトとかで出てくるアレだ。
ホエーを味見してみる。
あとで料理にでも使おうと思ったけど、あまりの素朴なおいしさに、一気に全部飲んでしまった。ほえー。
味としては、さっぱりとした良いミルク。牛乳の美味しいところをまとめつつあっさりさせた感じ。
「牛乳」というより「ミルク」感がある。
(「牛乳」と「ミルク」に違いがあるのか知らないが)
これ、もっとほしいな…。
生クリームのホエーだけ売ってたら買っちゃうと思う。
ところでこれも関係ない話なんだけど、観戦前の顔に比べて明らかにほっぺが赤くなっている。スポーツ観戦パワーはすごい。
これが日本代表を応援しながら作ったバターだ!!!!
市販されているバターに比べて、出来立てはやわらかくて、白くて、どことなくホイップクリームの香りがする。
さて、もう夜も遅いがせっかくなので出来立てをパンに塗っていただこう。
柔らかくて塗りやすい。
食パンに塗ってもまだ小皿にこれだけ残っているし、なんならボトルの中にはこの10倍くらいのバターが入っている。明日からバター三昧だ。バターが使い放題なんて夢みたいだ。
いただきまーす!
美味しくて、夢中で一気に食パン1枚を平らげたし、なんならバターだけでしばらく舐めた。
生クリームから自分で作ったバターは、あっさりしていてくどくなく、バターのコクよりも、生クリームの芳醇でミルキーな香りに包まれる感じ。
これなら重くなく、するするといくらでも食パンが食べられそうだ。
しかし…今回は無塩バターということで塩は入れなかったのに、なぜかちょっぴりしょっぱい気がしたのはなんでかな。気のせいかな。
というわけで、試合には負けてしまったけど、バターは無事に完成したのであった!
おわりに
スポーツ観戦は楽しい。
(と、4年に一度、毎回気づかされる。)
(そのわりにはW杯が終わったらまた熱が冷めてしまう。)
今回はバターを作りながらの観戦という初の試みだったが、嬉しかったり、悔しかったり、必死になったり、気持ちが高ぶったときには、大声を出さずとも、それをメガホンにぶつけることができるので楽しかったし、ストレス発散にもなった。
さて!対スペイン戦がいよいよ目前に迫っている。
じゃがバターでも作って食べながら応援しようかな。
森保ジャパンの勇姿がまた見られることを期待しつつ。
頑張れ!日本!