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呪いの授業

大学時代、とある授業で――それがどんな授業だったか、どんな先生だったかすらもう思い出せないが――、先生が「いま皆さんは20歳前後で、この教室には100人ほどいますけど、統計的には日本人は30歳になるまでに100人中1人は死ぬ計算なんです。つまりこの教室の中で誰かは10年以内に死にます。」と話していたことがある。

理屈や計算方法は至極真っ当だった、と当時は思った気がするので(今思えば屁理屈だったのかもしれないが…)、説得力があり、それを聞いてただただ恐ろしかった記憶がある。

先生が死神か、あるいはデスゲームのゲームマスターに見えた。

その1パーセントは、私になるのかもしれない、と思った。

その後も、ことあるごとにその話を思い出しては恐怖していた。
脳に張り付いて消えない、呪いみたいになった。
眠れる森の美女のマレフィセントよりもよっぽど悪質な、呪いみたいになった。

こちとらせっかく「むらさきかがみ」の恐怖をハタチになるまで乗り越えたというのに。

ただ、ありがたいことに私は今日ここまで無事に生きおおせている。

でも、もしかしたらあの教室にいた誰かは、もうこの世にはいないかもしれない。
ふと思い出してはそんなことを考える。

先生は一体何を言いたかったんだろうか。
どんな授業だったかも思い出せない今、答えは出ないし、先生もわからないのだからこの気持ちをぶつける先もない。

あの時の言葉になぜか感謝しているような、単純に恨みを持っているような、自分でもポジティブなのかネガティブなのか、何とも言えないこの気持ちは、こうやってネットの海に吐き出す以外にしようがなく、消化不良のまま今も波間にゆらゆら浮かんでいる。


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