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間違った方向に可能性を切り拓く


夏と冬の旅行シーズンに超早朝バイトをしていた時期があった。

詳しいバイト内容は割愛するが、朝4時半に起きて5時過ぎには家を出て、現地で30分~1時間半程度働くと勤務時間にかかわらず2,000円もらえるという、けっこう良い副業だった。


このバイトを始めるにあたり、私はとあることを目論んでいた。

その頃の私は特に自堕落で、家に帰るとついダラダラゴロゴロ、ごはんをたらふく食べたら洗い物もせずメイクも落とさず、そのままベッドにダイブしてしまうような毎日だった。

「明日の朝でいいや…」と翌日の自分に全て押し付けて、結果慌ただしい翌朝を迎える。そんなことがしょっちゅうで、自分にほとほと嫌気がさしていたところだった。


しかし、早朝バイトなら、朝4時半に起きねばならぬのだ。
そんな超早朝に起きるとなれば、さすがの私でも前日の夜のうちにちゃんとメイクを落とし、お風呂にも入り、部屋の電気も消してぐっすり眠るのではないか。
そんな習慣がつけば、規則正しい生活の最低ラインはどうにかキープできるのではなかろうか、という算段だ。

これは勝つる!
これで私も最低限の人間の生活だぞーーーッッ!

規則正しい生活もできてお金も稼げて早起きの習慣もできる、そんな一石三鳥の可能性に胸を躍らせていた。



結果的に、朝4時に起きてシャワーを浴びる能力が身についた。

違う、そっちじゃない。




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