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2021年のまとめ

ウィーン中央墓地にいる鹿

なぜだか2021年に関する記憶を辿ろうとすると混乱する。新型コロナウイルスが蔓延してから、同じようなニュースの繰り返しだからだろう。ワクチンが手に入ったとはいえ、感染状況に関してはさして進歩していないように思う。ニュース情報を辿ってみると、2020年12月頃から2021年1月7日までの3回目のロックダウン、2021年11月19日から4回目のロックダウンが12月12日まで継続されていたようだ。おそらくこのロックダウンの繰り返しが精神によくない影響を与えているのか、もはやいつロックダウンやっていて、それがいつ終了したのかも、あまり正確には覚えてはいない。新型コロナウイルスのパンデミックが始まってから、少なくともオーストリアでは4回もロックダウンを実施したらしい、合計すると3−4ヶ月なのかと思い浮かべてみると想像以上に長期間、都市封鎖していたんだなと思わされる。ちなみに、2022年1月現在でもワクチン未接種の人に限り、ロックダウンは継続されているということになっている。

展覧会の数は比較的少なかったかもしれない。多くのものはキャンセルされたか、2022年以降に延期されたり、実現するかどうかも不明な中ブラリになったものも多い。それでもロックダウンの合間を縫ってドイツ、スロベニア、ギリシャ、ロシア、日本に旅行できたのはよかったのかもしれない。

ウィーンで使っていたスタジオ

2021年前半は、デュッセルドルフのクンストパラストでの展覧会「憤慨せよ!」がロックダウンの影響により、事実上小規模なオープニング+数日?一般公開しただけで、閉鎖されてしまったことから始まった。ちょうどオープニングに合わせてデュッセルドルフ滞在をしていた時、急にドイツとオーストリアでロックダウンが決定された時は驚いた。しかも(2020年暮れだが)その当時、ウィーンで未曾有のテロがあった。 とはいえ、大規模な展覧会だったのでメディア露出の多い幻の展覧会となった。 ヨーロッパ各地でかなりの感染者が出たので、予定していたアートフェアやロンドンの個展なんかがキャンセルとなった。またアジアではスリランカの芸術祭なんかもあったが、当然のことながら1年延期となった(隣国インドの感染爆発が記憶に残っている)

Withdrawing Adolf Hitler from a Private Space, 2018
Photo by Achim Kukulies, Düsseldorf
貼られた手紙


3月頃には、「私的空間からアドルフヒットラーを引き摺り出す」がドイツのドルトムント、ケルンに巡回したので、現地に撮影に行った。ドルトムントなんかは、ホテルに僕1人しか宿泊してないという状況だった。この時も確か、コロナによる規制がたくさんあって、集会は何人までとか決まっていた気がする、そのせいでオープニングなどはなかったし、なとなく寂しい感じの旅だった。ヨーロッパ内の移動にもPCR検査による陰性証明書が必要だとか言われていたのにも関わらず、この頃のチェック体制は非常に緩く、空港で確認などほとんどされなかった記憶がある。

一人で泊まったホテル、僕のほかに誰も宿泊してなかった
Withdrawing Adolf Hitler from a Private Space 「丹羽良徳:私的空間からアドルフ・ヒットラーを引き摺り出す」GOLD+BETON、ケルン、2021での展示風景 撮影:Almut Erhardt、2021 写真提供:GOLD+BETON, ケルン In the context of the exhibition "Yoshinori Niwa: Withdrawing Adolf Hitler from a Private Space" at GOLD+BETON, Köln Photo by Almut Erhardt, 2021 Courtesy of GOLD+BETON, Köln
Withdrawing Adolf Hitler from a Private Space, 2021, video still
Photo by Almut Erhardt, 2021 Courtesy of GOLD+BETON, Köln

6−7月頃には、スイスのバーゼルのブックフェアから始まった「INEXISTENT BOOKS IV」という企画がチューリッヒに巡回したり、東京のSatoko Oe Contemporaryのグループ展、MAT名古屋のブックフェア「Minatomachi Art Book Fair」、そして21_21 DESIGN SIGHTでのグループ展「ルール展?」が始まった。新型コロナウイルスによって、国をまたぐ移動にあれこれと制限が課されたので、この頃の自分が参加していた展覧会(「ルール展?」を除く、理由は後述する)はほとんど現地で見れていない。

丹羽良徳「自分の所有物を街で購入する」2011 21_21 DESIGN SIGHT企画展「ルール?展」 撮影:吉村昌也 Yoshinori Niwa "Purchasing My Own Belongings Again in the Downtown" 2011 21_21 DESIGN SIGHT Exhibition "Rules?" Photo: Masaya Yoshimura
歓迎失望ピクニック政府_特装版
計画経済, 2021

夏頃、家庭の事情により、新型コロナウイルスの水際対策がかなり強化されていたにも関わらず、夏に数週間だけ日本に滞在することになった。この時は、PCR検査による陰性証明書を「日本政府が定める書式で用意しろ」ということになっていて、せっかくウィーン市が無料PCR検査を提供しているにもかからず、それが使えるわざわざ民間病院に行って高額な検査料を払ってPCR検査をして、日本政府が用意した紙にサインしてもらった記憶がある。どうにかこうにか日本に入国できたけれど、2週間は公共交通機関も使えず、日本政府によるGPS追跡などをされていた。このおかげで、当初は見れないと思っていた2121デザインサイトの展覧会「ルール?展」を見ることができた。

9月を過ぎるとやや感染の波が収まったので、ヨーロッパ恒例のバカンスということで、今年はギリシャのアテネとミロス島に2週間くらい滞在する。この頃は、コロナ感染者数もさほど多くなく、比較的気楽なものだったと思う。9月になれば、観光客がぐっと減って宿などが値下がりするし、南ヨーロッパはまだまだ30度超えが続くので、僕ようにスケジュールがどうにでもなるような職業の人にはちょうどいい。

自分の所有物を街で購入する, 2021
ウィーンで手持ちのお金がなくなるまで、ATMの出入金をくりかえす, 2021

ウィーンに帰ってきてから、ワクチン2回接種を済ませたので、EUデジタルサーティフィケートが手に入った。スロベニアの首都リュブリャナでの個展。これは、ミニ回顧展のような展覧会だった。そのあとでベルリン旅行、そして12月にはモスクワのリサーチ旅行と続いた。この頃になれば、ワクチン接種証明があるということで、ヨーロッパ内の移動は随分と楽ちんになった記憶がある。ロシアはEU諸国とは違ってワクチン証明では入国できないので、別途PCR検査が必要になるなどいろいろややこしい国だったが。

モスクワに飛ぶ直前に、ウィーンでしばらく借りていた制作スタジオから退去することになった。理由はビルの建て壊しのためということになっているので、仕方がないけれど。早々に新しいスタジオを見つけたいなとは思うけれど、何もかもゆっくりモードなので、なかなか進まない。

Photo: Matevž Paternoster/Archive MGML 2021 Yoshinori Niwa: On Rehabilitation of Domination and Domain 14. 9. 2021–31. 10. 2021 Match Gallery/Museum and Galleries of Ljubljana, Slovenia
Photo: Matevž Paternoster/Archive MGML 2021 Yoshinori Niwa: On Rehabilitation of Domination and Domain 14. 9. 2021–31. 10. 2021 Match Gallery/Museum and Galleries of Ljubljana, Slovenia
モスクワの地下鉄は深い

モスクワのあと、オーストリア歴史館で「ヒットラーの処分」という長期展覧会が12月から始まったけれど、4回目のロックダウンと被ったためにオープニングが中止されてしまったので、いまだに展覧会さえ見てもいない。

2022年は1月からスリランカの芸術祭「コロンボスコープ2021」が始まる。これは新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、特にインドでの感染爆発の時はもはや中止かと思ったけど、何度も延期していてようやく、2022年に開催を決心したものだけども、紆余屈折しながら予算が削られたりして、最終的にはオンラインでの作品発表となったものだ。今回初めての音声作品というものになる。そのあと、いくつか小さな展覧会などがあって、秋頃にはモスクワで比較的大きな展覧会がある。今日はここまで。

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