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 多くの方に歴史を学ぶ面白さが伝わればという思いで、世界史で学ぶ内容を整理していきます。ただ教科書や参考書を使って学ぶだけではなく、記事なども使って知識の羅列ではなく、リアルな世界を知る面白さを感じられるようにしたいと思います。ここでは世界史をほとんど学んだ記憶がない人向けにも、一般的な教養として使えるように時代の流れに合わせて作成しました。この記事が、歴史に興味を持つきっかけになったり、歴史の学習が深まる助けになればなによりです。


導入としての問い

動物と人類の違いはどこにあるか?

 動物と人類の違いは直立二足歩行にあるとされています。言語や道具の使用であれば、動物にも見られます。しかし、直立二足歩行によって手が自由になり、それが脳が大きくなっていきます。そして、背骨が垂直になることで大きくなった脳を支えることができます。その大きくなった脳で、人類はいろんなものを想像するようになっていくのです。

 脳が大きくなる一方で、身体の重さが腰に集中しやすくなります。そうすることで腰痛になったり、出産時には他の動物にはない痛みがあるとされています。

私たちの先祖の一部は、何のために洞窟の奥に壁画を遺したのか?(洞窟壁画の謎)

 私たちと同じ新人は、約20万年前に現れます。そして、約5万年には洞窟に壁画を遺しているのですが、壁画の場所は洞窟のかなり奥にあるそうです。なぜそんな洞窟の奥で描かれたのか、この理由は推測の域を超えないのですが、最近の研究では子どもの通過儀礼に使われていたとか、岩が下界とのつながりを感じる特別なもので、松明で描き手が酸欠状態になることで幻覚を見ながら描くのが目的だったなどと関係しているという研究結果が出されているそうです。いずれにしても宗教的な意味があったことには間違いないと言えそうです。

note(先史時代における旧石器時代)

先史時代(文字資料が残っていない時代)
↔︎ 歴史時代(文字資料が残っている時代)
人類の歩みの99.9%は先史時代に含まれる

700万年前に最初の人類が誕生
「猿人→原人→旧人→新人」と進化していく

猿人(700万年前)

サヘラントロプス(600万年前、意味は「サヘル南部のヒト」)
 2001年にアフリカのチャドで発見された現在最古の人類
 (サヘラントロプス=チャデンシス)
トゥーマイ猿人(意味は「命の希望」)とも呼ばれる

600万年前に道具の使用が始まる
二足歩行で背骨が脳を支えることができるようになる

・アウストラロピテクス
 アファール猿人
とも言われる
 ルーシー(320万年前)
と命名された猿人が有名
 肉食獣に捕まらないように、石を使って木の実や根を採っていた

・ホモ=ハビリス(240万年前、意味は「器用な人」)
 猿人と原人の中間
 肉食獣の食べ残しを食べる、石器を使い始める
 →人間が「道具」を獲得

打製石器(礫器、単純な加工)の使用
 チョッパー(片刃礫石)→打ち欠いただけ 
 ハンドアックス(握り斧、先端が尖っている)
 ポイント(尖頭器、うすくはがした剝片礫)

打製石器の使用が始まる(旧石器時代)
 打製石器、植物採集と食べ残し、狩り
 →栄養状態が良くなり、脳が増大

原人(200万年前)

・ホモ=エレクトゥス(意味は「直立した人」)
 体が大きい、ユーラシア各地へ移動する
 言語がまだ赤ちゃん程度、思いやりや連帯感が見られる

「火」の使用が始まる(100万年前〜)
 硬い肉を柔らかくすることができる(肉の調理、殺菌)
 暖かさと明るさ(洞窟に住む)、動物から身を守る

 石で火を起こす(79万年前)
 →フリント、イスラエルで薪の跡が発見される

ジャワ原人
 オランダのデュボアが発見(ダーウィンの進化論に触発され発掘)
北京原人
 骨に燃えた痕、化石が割れている(食人の風習?)

旧人(60万年前〜4万年前)

・ネアンデルタール人
巨大な筋肉、目の上が張り出している、大型動物を狩猟
 剥片を加工
 ポイント(槍などで突き刺す)ためを使用
 スクレイパー(削るためのヘラのような道具)を使用
 共食いの跡がベルギーの洞窟で発見される(2016年)
 戦いの跡も記録されている

精神的文化の発達
死者の埋葬(花を手向けたと思われる跡)
 屈葬、壁画が残されている
 40歳ぐらいの障がいがある人の化石
 →社会に支えられていた
認知革命が起こる
 大規模な共同作業が少しずつ可能に(虚構)

新人(現代人)20万年前〜

・ホモ・サピエンス(意味は「賢い人」)
 旧石器時代は「新人」、新石器時代では「現生人類」と言われる
言語能力が高い、背が高く手足が長い

12〜9万年前に世界各地へ
 アフリカから西アジア、ユーラシア、オーストラリア
クロマニョン人、周口店上洞人
弓矢・骨角器(釣り針)を使用→狩猟や漁労技術の向上

5万年前〜
ラスコーの洞穴(フランス)、アルタミラの洞穴(スペイン)
 →洞窟のかなり奥の方に遺されている芸術性の高い洞窟壁画
  生きることの感謝、狩りが成功することを祈る(宗教的意味)

4万年前 ネアンデルタール人が絶滅
 それまでは新人と共存
 氷期に適応できず減少、最後はイベリア半島とされる
ゴーラム洞窟に謎の線
 (ネアンデルタール人にも抽象的な思考があったのかどうかが争点)
 →現生人類は組織化することに長けており、生き残ったとされている
 彫刻や土偶(女性のものが多い:豊かな暮らしを願う)

3万年前頃、新人はシベリアへ(人口は1000万〜2000万人ぐらい)
 氷期や寒い地域では毛皮を縫うようになる

1万5000年〜3000年前に南北アメリカへ
1万年前頃に気候変動(氷期が終わり暖かく)
 森や草原が増え、大型獣が減少
 牛、イノシシ、ウサギ、魚、穀物、豆類、果物、アーモンドなどを食す

1万4600年前 西アジアに定住
 狩猟・採集の両方を行う
 この頃にオオカミが狩りの友になる(後の犬)
 →動物は食用以外にも使えることを発見(毛織物)
  次第に麦類に依存し始める(収穫用の鎌刃)

1万年前に地球温暖化で新石器時代へ
環境の変化で人類の生活も大きく変わる
→農耕が始まり磨製石器や土器が使われる時代へ

復習用まとめの問い

直立二足歩行によって、人類が動物とは異なる発達をした過程

 旧石器時代のポイントは、現生人類に至る過程において独特の精神世界を持ったことだと考えられます。直立二足歩行によって、増大する脳を支えられるようになり、増大した脳でいろんな思考や想像する力を得ることができました。人類の進化に従って、道具や火の使用、言語の使用、死者の埋葬、壁画や土偶の作成という精神的発達を遂げてきたことが理解できます。

 私たちはこの高度な思考能力を使って、今後は多くの人々との共存を可能にするために宗教や文明を発展させていきます。

次回は「新石器時代」

 1回目の世界史学び直しの記事はいかがだったでしょうか。少しでも歴史の面白さを感じてもらえたり、難しいと思っていたところの理解の助けになれば何よりです。次回からは狩猟・採集から農耕・牧畜へと人々の生活が変化し、定住した人類が新たに都市や文明を築くところまでを学んで記録したいと思います。もし興味がある方は、以下のリンクにある記事などもご覧いただくといろんな面白い発見があると思います。それではまた次回もよろしくお願いいたします。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

より深く学ぶためのリンク集

<学習用参考資料>

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