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書評|『命がけの証言』清水ともみ(WAC)

これが現実に起こっていることなのか。驚かずにいられない。明らかになるのは、鬼畜の所業。知るほどに恐ろしい。

証言しているのは女性4人、男性2人。ウイグル自治区で保育園を運営していたカザフ人女性を除いた5人がウイグル人。中国という国がどういう国なのか。ウイグルで何をしているのか。身の危険を顧みず、実名で、広く知らせようとしている。

いたるところに監視カメラが設置されている。にもかかわらず、行方不明になる子供の数が減ることはなく、カメラに人さらいの姿が映ることはなぜか少ない。行方不明になって帰ってきた多くの遺体から臓器や眼球がなくなっている。

臨月の女性でも堕胎させられる。50歳までの女性全員が避妊のための検診や措置を受けさせられ、自費で麻酔無しの避妊手術を強制される。

若い男性はほとんど収容所に入れられ、残されたウイグル人の家には漢人が「親戚」として入り込み、寝食を共にする。

収容所では何が行われているのか。中国語、中国共産党のプロパガンダの歌が教えられる。自らの罪を反省する時間が設けられており、罪とは宗教的慣習に従うこと、中国語や中国文化を知らないことなど。告白する罪を考えなかったり思いつかなかった場合は、罰を受け、反省文を書かされる。拘留者は理由なく投薬注射をされる。その一方で病気になった拘留者は放置される。「黒い部屋」と呼ばれる拷問部屋では、あらゆる種類の拷問が行われている。

二百人の収容者の前で自分の罪を告白しろと命じられた女性は言った。「私はかつてはとても悪い人間でした!中国共産党の教えや中国語を学んだので私は良い人間に生まれ変わることができました!」と。にもかかわらず、どうなったか。おぞましすぎる。

留学生として来日し、現在は料理店を経営する在日ウイグル人の男性は、中国政府に故郷の家族を人質に取られ、身の安全を保障するかわりに同胞を裏切りスパイになれと要求される。

ニューズウィークに掲載される楊海英氏のコラムを愛読していて、楊氏がこの本についてSNSで発信していたこと、内モンゴル、チベットの問題に以前から関心があり、同じようにウイグルのことも気になっていたことから手に取ったものの、正直、胸が締め付けられるような苦しさがあり、読み進めるのがつらかった。

だが、見て見ぬふりはできない。今、世界で起きていることとして、目を逸らさずに受け止めなければならない。ウイグル人は人間として扱われていない。ウイグル人は地獄の中に住んでいる。もっとメディアで報道・検証されるべきだろうし、より多くの人に知って、考えてもらわなければならない話だと思う。漫画という表現手段で証言を届けてくれた清水ともみ氏に敬意を表するとともに、一人でもたくさんの人に読んで欲しいと願わずにはいられない。


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