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2024年に読んだ本から7冊選ぶとしたら
2024年も大晦日を迎えた。
つい先ほど、今年の最後となる一冊を読み終えて、122冊目の読書のきろくを投稿した。
小説もあればノンフィクションもあり、仕事のために読んだ本もあるが、ほとんどが興味の赴くままに読んだものばかり。誰かに紹介してもらったり、SNSでたまたま見かけたり、きっかけは様々あってそこからまた次につながるのも楽しかった。
今年読んだ本を振り返って、印象に残っているものを選んでみようと思い、まずはそのリストを眺めてみる。厳密にはあと2冊あるけど、記録を書き残して公開できたのはこちら。
1.『ロジャーズ クライエント中心療法』
2.『見知らぬ海へ』
3.『へそ道』
4.『ロジャーズの中核三条件 受容』
5.『成功の掟』
6.『愛するということ』
7.『信長、鉄砲で君臨する』
8.『世界は贈与でできている』
9.『銀河鉄道の父』
10.『いろいろ』
11.『ストロベリーライフ』
12.『常設展示室』
13.『フリースタイル言語学』
14.『ふれあいサンドイッチ』
15.『あしたの幸福』
16.『シニアの品格』
17.『共感力』
18.『ぼくが子どもだったころ』
19.『きいろいゾウ』
20.『生きるということ』
21.『より道わき道散歩道』
22.『だれかの記憶に生きていく』
23.『この世の喜びよ』
24.『<あの絵>のまえで』
25.『ロジャーズの中核三条件 一致』
26.『喜ばれる人になりなさい』
27.『心理療法個人授業』
28.『気はやさしくて力持ち』
29.『魂にメスはいらない』
30.『チョンキンマンションのボスは知っている』
31.『親愛なるレニー レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』
32.『悪魔出し抜け!』
33.『センス・オブ・ワンダー』
34.『死ぬことと見つけたり』(上)
35.『死ぬことと見つけたり』(下)
36.『19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと』
37.『97%を動かすマヤの叡智』
38.『夜明けのすべて』
39.『野生のしっそう』
40.『心理的安全性をつくる言葉55』
41.『ホリス・ウッズの絵』
42.『スピノザ-読む人の肖像』
43.『無意識の構造』
44.『俄-浪華遊侠伝-』(上)
45.『俄-浪華遊侠伝-』(下)
46.『沈黙の春』
47.『わかりあえないことから』
48.『エミール』(上)
49.『エミール』(中)
50.『エミール』(下)
51.『じんかん』
52.『成瀬は天下を取りにいく』
53.『新シャーロック・ホームズの冒険』
54.『あなたの言葉を』
55.『正しき地図の裏側より』
56.『便を見る力』
57.『うしろめたさの人類学』
58.『ゆっくり、いそげ』
59.『ロジャーズの中核三条件 共感的理解』
60.『職場のメンタルヘルス・マネジメント』
61.『人事のためのジョブ・クラフティング入門』
62.『スロウハイツの神様』(上)
63.『スロウハイツの神様』(下)
64.『アンネの日記(増補新訂版)』
65.『八犬伝』(上)
66.『八犬伝』(下)
67.『そしてレコードはまわる』
68.『こころと脳の対話』
69.『永遠の0』
70.『図書室で暮らしたい』
71.『影との戦い ~ゲド戦記1~』
72.『厨房の哲学』
73.『こんな世の中に誰がした?』
74.『ライアの祈り』
75.『不完全な司書』
76.『100万分の1回のねこ』
77.『恋するために生まれた』
78.『さみしい夜にはペンを持て』
79.『ふたごの兄弟の物語』(上)
80.『ふたごの兄弟の物語』(下)
81.『カフーを待ちわびて』
82.『点子ちゃんとアントン』
83.『だから日本は世界から尊敬される』
84.『雨降る森の犬』
85.『人生はタネとしかけでどうにでもなる!!』
86.『あなたへ』
87.『夏美のホタル』
88.『夢をまことに』(上)
89.『夢をまことに』(下)
90.『ゆうぞらビール』
91.『死ぬまで生きる日記』
92.『噛み合わない会話と、ある過去について』
93.『王への手紙』(上)
94.『王への手紙』(下)
95.『きらきらひかる』
96.『津軽百年食堂』
97.『青森ドロップキッカーズ』
98.『ぷくぷく』
99.『癒し屋キリコの約束』
100.『海を抱いたビー玉』
101.『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』
102.『錦繡』
103.『水曜日の手紙』
104.『さやかの寿司』
105.『新装改訂版 古代マヤ暦「13の音」』
106.『この夏の星を見る』
107.『おいしくて泣くとき』
108.『虹の岬の喫茶店』
109.『優駿』(上)
110.『優駿』(下)
111.『本が紡いだ五つの奇跡』
112.『ロールキャベツ』
113.『雨上がりの川』
114.『木曜日にはココアを』
115.『極楽よのぅ』
116.『逆ソクラテス』
117.『ミュータント・メッセージ』
118.『こころの生態系』
119.『あえて、つながらない生き方』
120.『舟を編む』
121.『西の魔女が死んだ』
122.『なずな』
この中から5冊選ぼうと思ったものの、絞り切れなかったから7冊にする。
印象に残っていて、また年を経て読み返したいと思っている本、という基準で選んでみた。
(マヤ暦関連の本は、日頃から頻繁に読むというか使っているのであえて除外で)
『じんかん』今村翔吾
『あなたの言葉を』辻村深月
『ライアの祈り』森沢明夫
『さみしい夜にはペンを持て』古賀史健
『死ぬまで生きる日記』 土門蘭
『西の魔女が死んだ』 梨木香歩
『なずな』 堀江敏幸
どれも甲乙つけがたいから、ランキングのような順位をつけずに、読み終えた順番に並べてみた。辻村深月さんや森沢明夫さんの作品は今年何冊も読んだから、その中から1冊選んでいる。
せっかくなので、簡単な感想を添えてみたい。
■『じんかん』今村翔吾
戦国時代が舞台の歴史小説。主人公は、松永久秀。
最期は城を爆破させて愛用の茶釜と共に果てた、戦国時代の裏切り者というイメージしかなかったが、この作品を読んで印象が真逆に変わった。「神仏にすがるよりも人の命そのものに真っ直ぐに向き合い、弱き者のために戦い抜いた正義の味方」へと。
誰を主人公にするかによって、物事の見方は変わる。その差の大きさと、織り成される物事の見事さに感動した、かっこいい作品。
■『あなたの言葉を』辻村深月
『かがみの孤城』、『ツナグ』など有名な作品をたくさん書かれている辻村深月さん。彼女が、毎日小学生新聞で月に一度連載されていた記事がまとめられている作品。本に向き合う姿勢、人の心に向き合うやさしさが、小説とはまた違う形で語りかけてくれる。
大切なものに大切に向き合いたい、そんな気持ちにさせてくれる一冊。
■『ライアの祈り』森沢明夫
今年の後半にたくさん読ませてもらった森沢明夫さんの作品のうち、僕がはじめて読んだもの。青森三部作と呼ばれる作品群の3作目にあたるが、これから読んでも問題ないような構成・展開になっている。人のつながりのやさしさに触れられるのが森沢さんの作品の魅力で、それに加えて縄文時代の生き様も描かれているのがこの作品。
縄文時代の生活様式を現代に取り入れることは非現実的だけど、その「心」にあたる部分は参考になる。
■『さみしい夜にはペンを持て』古賀史健
物語として書かれているから、読み物としても楽しめるが、それ以上に実際に活用していきたい、活用してもらいたいと思うのがこの本。
「日記を通じて、自分の気持ちに向き合う」が大きなテーマで、マヤ暦の活動で大切にしているダイアリーの応援図書としてもバッチリだと思った。読書感想文や絵日記のような、先生に提出するために書くのではなく、自分のために書くことがどれだけ自分を助けてくれるか、どのように取り組めば続けられるのか、子どもから大人まで読んでほしいと思える一冊。
■『死ぬまで生きる日記』 土門蘭
小説・短歌などの文芸作品や、インタビュー記事の執筆など書く仕事をする著者が、二年間にわたるカウンセリングを受けながら自分を見つめ続けた記録。タイトルを見ると身構えてしまうが、「死にたい」という気持ちに向き合うプロセスには学びが多い。もちろん明るい話題が並ぶわけではないが、読みながら気持ちは開けてくる。
言葉が心をどう表現しているか、その言葉によってどこまで表現しきれているのか、妥協せずに向き合わせてくる本はなかなかないのではないだろうか。
■『西の魔女が死んだ』 梨木香歩
中学生の少女が、おばあちゃんとの生活を通じて、生きる上で大切なことを学んでいく物語。「西の魔女」とは、そのおばあちゃんを指している。自然のありように触れて、自分の心の声をきいて、自分で決めていきていく。人工的なモノに囲まれて流されながら生きている現代の僕らにとっては、うらやましいと感じる部分もあるかもしれない。だけど、物語の中にある特別な話ではなく、実は自分たちにもできることがあるよねと、教えてくれるというよりも思い出させてくれる作品。
■『なずな』 堀江敏幸
40代半ばの男性が、生後二ヶ月の赤ちゃんを育てていく物語。文庫本の裏表紙には「育児小説」と書かれていて、たしかにミルクやおむつやお風呂など、赤ちゃんのお世話をする様子がふんだんに描かれている。直接は血のつながっていない周りの人たちの力を借りながら、日々少しずつ成長していく姿を感じられるのも微笑ましい。
ただ、そんな様子よりも、描写の細やかさにとにかく感動して、今年に限らず、今までに読んだ小説の中でも上位に選びたいのがこの作品。分かりやすいアクションだけでなく、目には見えない風の様子も捉えて描かれていることに衝撃を受けた。
Instagramに投稿したそれぞれの感想も併せて。できるだけあらすじを書かずに、読んで感じたことを載せているので、ネタバレを避けたい人にも読んでもらえるかもしれない。
今年は、本を自分で楽しんだのも、本を通じた交流が生まれたのも、どちらも豊かな体験だった。
2025年も、心地よく本と付き合っていきたい。
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